昨年NURO光に替え Wi-Fiネットワークを高速化した我が家ですが、戸建てということもあり、Wi-Fiの電波が届きにくい部屋があります。
安価なWi-Fi中継機を使って、家の隅々までWi-Fiがつながるようにできるか挑戦してみました。今回は前編。Wi-Fi環境の分析ツールの使い方までを解説します。
前編)
・Wi-Fi電波が届かない部屋がある。そのときどうする?
・Wi-Fi電波の強さを調べるには?
・iPhoneユーザー向けのWi-Fi強弱チェックアプリ 「AirMacユーティリティ」の使い方
・我が家のWi-Fi強弱マップ
後編)
・Wi-Fi中継機の選び方
・Wi-Fi中継機の設置方法
・どこに中継機を置くか?
・5GHzと2.4GHzのどちらを使う?オススメの設定は?
・Wi-Fi中継機で電波は届くようになったのか?
Wi-Fi電波が届かない部屋がある。そのときどうする?
2021年2月にNURO光を導入してまもなく1年が経ちます。
我が家のWi-Fiルーターは、バッファロー社のWSR-2533DHP3 (2020年1月発売)
2021年7月に 8,780円で購入したものです。
以前使っていた WHR-1166DHP4(2017年4月発売)に比べると、5GHz帯の理論最大通信速度が 1,733Mbpsとなっています。
最大通信速度2Gbpsを売り物にしているNURO光の性能をより引き出せるようになりました。
また、5GHz帯と2.4GHz帯それぞれにアンテナが2倍の4本となり、スマホ、パソコン、タブレットなど多数の機器を同時接続してもつながりやすいと言われています。
ルーターが置いてある2階のリビングで Fingアプリで 平日の日中に測定すると通信速度 600Mbps超え。何をするにも申し分ない速度です。
しかし、そんな我が家のネットワーク環境ですが、1点だけ問題がありました。
「お風呂と寝室でWi-Fiがつながらない」という人がいるのです。
我が家は木造2階建て。Wi-Fiルーターは、2階の中央付近に置いてあります。
電波が届きにくいのは、1階の端にあたりWi-Fiルーターから最も遠い位置にある風呂場の浴槽側と寝室の奥です。(赤丸)
私は問題なくつながるのですが、いまだiPhone8を使っている妻から「Wi-Fiが知らない間に切れていて、ソフトバンクの通信容量使い切ってしまった!」とのクレームが。
携帯端末の仕様の違いのせいか?と調べてみると、対応している通信規格が異なりました。
MIMO対応802.11ac Wi-Fi
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2×2 MIMO対応802.11ax Wi‑Fi 6
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Wi-Fiの強度自体は、通信規格とは関係ないので つながりやすさは変わらないのではと思います。
ただiPhone第2世代には、5GHz帯と2.4GHz帯それぞれにアンテナが2本づつ入っています。
それによって、より繋がりやすくなっているのかもしれません。
そうかといって妻に「Wi-Fiつなぎたかったらスマホを買い替えてください」というのはあまりに酷。
なにか別の方法を考えます。
2つの案を思いつきました。
1.Wi-Fiルーターを高性能なものに買い換える
2.Wi-Fi中継機を使う
1つ目の「Wi-Fiルーターを高性能なものに買い換える」ですが、以下の理由からいったん保留です。
1-1. 1万円近くお金がかかる
1-2. 電波の強度をあまり強くしたくない
1-3. 電波の強度が強くならないのであれば解決しないかもしれない
1つ目のお金の心配は当然ですが、2つ目の「電波の強度をあまり強くしたくない」については補足説明が必要です。
あくまで素人考えなのですが、
・木造住宅が隣接している地域なので、発信電波を強くすると近隣のWi-Fiと干渉を起こし、つながりにくくなるのでないか?
・不必要に遠くまで電波が届くと、離れたところから知らないうちに接続され、ハッキングされるのではないか?
と思ってしまったのです。
「高性能Wi-Fiルーターが、より強い電波を飛ばす」とはどこにも書いていないので、余計な心配かもしれませんが。
さて、そうなると選択肢は、おのずと2つ目の「Wi-Fi中継機を使う」です。
Wi-Fi中継機ならば、2,000円〜3,000円の機種が多数出回っています。
が、その前に若干心配があります。
・Wi-Fi中継機を使えば、本当に家のすみずみまで電波が届くようになるのでしょうか?
・そもそも、家の中でWi-Fiの電波は、どこにどのように届いているのでしょうか。
調べてみたくなりました。
Wi-Fi電波の強さを調べるには?
今回 家の中のWi-Fi強度を調べたいと思ったもう一つの理由。
それはズバリ、「Wi-Fi中継機の最適な置き場所をさがすため」です。
ネットでWi-Fi中継機で検索すると、
「Wi-Fi中継器は、電波の届かない場所と、親機であるWi-Fiルーターの中間地点に置きましょう」
と書かれています。
しかし、実際には、単純に2つの場所の距離的な中間地点に置けば良いというものでもありません。
・親機であるWi-Fiルーターからできるだけ強い電波が届く
・電波の届かない場所にできるだけ近い
・コンセントが近くにある
という条件を満たす場所を探す必要があります。
しかも、使える周波数帯は、5GHz帯と2.4GHz帯の2種類。
それぞれの周波数帯には以下のような特徴があり、理論通信速度に10倍近い差があります。
できれば 高速の5GHz帯で親機と中継機をつなぎたいところです。
しかし、5GHz帯のデメリットには「2.4GHzと比較して壁や床などの障害物に弱い。」とあります。
実際のところ、どうなのでしょうか?
5GHz帯(802.11ac)
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2.4GHz帯(802.11n)
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最大通信速度
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6.9Gbps
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600Mbps
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メリット
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2.4GHzと比較して、より高速な通信が可能
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壁や床などの障害物に強く、電波が遠くまで届きやすい
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デメリット
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2.4GHzと比較して壁や床などの障害物に弱い。
通信距離が長くなると電波が弱くなり、通信が不安定になる可能性が高い
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色々な製品で使用されている無線帯域であるため混雑して不安定になりやすい
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(参考:エレコム)
調べるにあたり、ちょっと困った点があります。
家中のあちこちで、5GHz帯と2.4GHz帯それぞれのSSIDをつなぎ替えながらネットワーク速度を測定していくのは、かなり面倒。
歩きながら、両方の帯域のWi-Fi強度を数値で測定できるものがあると便利です。
Androidユーザーには、「Wi-Fi Analyzer」というWi-Fiネットワーク分析の高機能ツールが無料で使えるそうなのですが、iPhone向けには有料のものしか見当たりません。
あれこれ、探してみると、Apple社が無料で提供している「AirMacユーティリティ」というアプリを見つけました。
iPhoneユーザー向けWi-Fi強弱チェックアプリ「AirMacユーティリティ」の使い方
「AirMacユーティリティ」は、App Storeで簡単に見つけることができます。
アプリをインストールした直後は、「Wi-Fiスキャナ」機能はオフになっており使えません。
以下の手順で、オンにしてから利用します。
・「設定」アイコンをタップ
・インストール済みのアプリの一覧から「AirMac」をタップ
・一番下の「Wi-Fiスキャナ」という項目を「オン」にします。
利用するときは、AirMacアプリを起動し、右上の「Wi-Fiスキャン」を押します。
更に右上の「スキャン」を押すと、リアルタイムで結果が表示されます。
数字が激しく変動して見にくい場合には、同じく右上の「停止」を押して止めてください。
ここで表示される数値で重要なのは、RSSIの数値です。
RSSI (Received Signal Strength Indicator) は電波の強さを示す値で、単位は dBm (デシベルミリワット) です。
通常 -30dBm 〜 -100 dBmとマイナスの数字で表され、大きいほど(ゼロに近いほど)信号強度が強く、通信を行うのに適している状態です。
RSSI
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電波状態
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-30 〜 -61dBm
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非常に良い
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-63 〜 -73dBm
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良い
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-75 〜 -85dBm
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普通
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-87 〜 -97dBm
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悪い
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我が家のWi-Fi強弱マップ
さて、ツールが揃ったところで、我が家のWi-Fi環境を診断してみましょう。
Wi-Fi電波強度 RSSIを調べるには、さきほどの「AirMacユーティリティ」を使います。
ネットワーク速度の測定には、Googleスピードテストなどいろいろありますが、今回は「Fing」というアプリを使いました。
測定した結果は以下のようになりました。
丸印が測定した場所で、Wi-Fi電波の強弱で色分けしてあります。
緑が電波強い、黄色が普通、赤が電波が弱いか届かない です。
私のiPhoneSE 第2世代では、Wi-Fiネットワークがつながってしまうケースがほとんどでしたが、
RSSIを測定すると、風呂場と寝室は -75 dBm以下で数値が激しく変動していました。
そのため、接続しにいくデバイスによっては、通信がかなり不安定になるのではないかと推測されます。
この状況で、Wi-Fi中継機をつかうとどのように改善するのか、試してみたいと思います。
(後編に続く)