Spotifyの有料版”Premium”には、やめられなくなる中毒性があります。他の音楽配信サービスと一線を画すその強みは、使い続ければ使い続けるほど的確になっていく、圧倒的に優れたレコメンド機能にあります。Spotify無料版と有料版における音楽体験の違いについて説明します。
Spotifyの有料版と無料版の違い(おさらい)
Spotifyの最大の武器は、強力なレコメンド機能
Spotifyで新しい曲に出会える仕掛けは?
Spotifyの有料版と無料版の違い(おさらい)
Spotifyには、無料で聴ける「Spotify Free」と有料の「Spotify プレミアム」があります。Spotifyの公式サイトによると、その大まかな違いは以下のようになっています。
有料版の「Spotify プレミアム」については料金体系は以下のようになっています。(公式サイト)
Standard
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Duo
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Family
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Student
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月額980円
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月額1,280円
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月額1,580円
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月額480円
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1人で
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2人で
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6人までの家族で
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大学生1人
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この「月額980円」は 音楽好きの人にとっては非常に価値があるものだと思います。
Spotifyの最大の武器は、強力なレコメンド機能
私はSpotifyプレミアムを利用し始めて2年以上経ちました。
2人分で毎月1,280円払っていますが、NetflixやAmazon Primeは途中解約できても、Spotifyプレミアムはやめられる気がしません。
なぜ、そこまでハマってしまうのか?それは使い込めば使い込むほど的確になってくる、AIをつかったレコメンド機能にあると思っています。
もともとSpotifyは、音楽配信サービス専門で創業しました。
なにか別のサービスやハードウェアをもつ顧客基盤があって、その付加価値を高めるためのサービスではありません。
例えば、Amazon Primeビデオのように、ネットで買い物をするPrime会員に向けた付属サービスとして提供されているわけでもありませんし、Apple Musicのように iPhoneという顧客基盤が盤石なハードウェアプラットフォームの上で提供される1サービスでもありません。
Spotifyは、あくまで音楽配信サービスそのもので勝負し、ビジネスを成立させなければならない宿命をもっています。
そのため、サブスクをしている会員に使い続けてもらえるよう、音楽配信サービスにおいて圧倒的に他社と差別化された顧客体験を提供しなければなりません。
それは、音楽配信サービスにおいて「新しい音楽との出会い」をどれだけ質高く継続的に提供できるかにかかっています。
音楽好きな人ならわかるとおもいますが、自分が知らなかった自分の好みに合う曲やアーティストに出会えたときの喜び。これはささやかな幸せを感じられるものです。
この喜びは、かつては自分で主体的に、場合によっては必死に探しにいかないと得られないものでした。
この「幸運な偶然を手に入れる力」は、専門用語では「セレンディピティ」と呼ばれています。セレンディピティとは
この音楽における”セレンディピティ”を絶え間なく提供してくれるのがSpotifyのレコメンド機能なのです。
Spotifyで新しい曲に出会える仕掛けは?
さて、Spotifyは、音楽体験における”幸福な偶然”を手に入れるために、どのような仕掛けを提供しているのでしょうか?私の知る限り、大きく3つの仕掛けがあります。
・膨大な質の高いプレイリスト
・自作プレイリストの拡張
・Discover Weekly
膨大な質の高いプレイリスト
Spotifyを使い始めて最初に感じるのがプレイリストの質の高さです。あくまでかつて(2020年頃)のApple Musicとの比較ですが、「センスがよい人がリストをつくっているなぁ」と感じたことが多々ありました。リストには
- Spotifyが用意したもの
- 他のユーザーが作成したもの
の2種類があります。Spotifyが用意したものはもちろんなのですが、音楽好きな他のユーザーが作成したリストもあなどれません。それらは検索窓でそのときの気分のキーワードを入れると出てきます。
たとえば、「勉強 ジャズ」とか、「テンション 上がる」などです。
Spotify作成のプレイリストはもちろんですが、他のユーザーが作成したリストからも、自分が知らなかった曲を 自分のプレイリストに取り込んだことが何度もありました。
自作プレイリストの「拡張」
Spotifyでは、「自作プレイリスト」と自分がつくった「お気に入りリスト」に対して、さらにおすすめの曲を追加してくれる「拡張」機能があります。
他の音楽配信サービスでもあるかもしれませんが、問題はその質です。
せっかくお気に入りの曲を聞き続けて気分がよくなっているところに、自分の好みでない的外れな曲を流されたときのガッカリ感。Spotifyでは そのような体験は非常に少ないと感じています。
ただし、これは2020年頃のApple Musicと比較したあくまで個人的な主観によるものです。
また、サービスを一定期間使い続けることではじめて磨き抜かれてくるものなので、定量的な比較評価は難しいかもしれません。
Discover Weekly
「Discover Weekly」は、Spotifyのヘビーユーザーが毎週楽しみにしている機能です。
このサービスは、これまでの音楽再生履歴から、毎週月曜におすすめの曲を30曲程度リスト化してくれるサービスです。
2年間も使い続けている成果かもしれませんが、最近ではほぼ毎週、2〜3曲、気に入って何度もリピート再生するお気に入りの曲が見つかっています。
例えば、最近追加した曲ではこんなものがありました。どれも聞いたことがないアーティストばかりです。これはさすがに自分では探せません。
タイトル | アーティスト名 | YouTube official |
心を照らせ! | チョーキューメイ | Link |
声の在り処 | ダズビー | Link |
melt | BIN | Link |
Eyes On Me | Suuzu. | Link |
Spotify無料版では音楽体験の質が落ちる
さて、話を戻し、Spotifyにおける無料版と有料版の違いはなんでしょうか?
先の比較表によると、Spotifyでは無料版でも有料版でも5,000万曲以上が聴けることになっています。無料版で広告が入ることも、BGM代わりに音楽を流している人には気にならないかもしれません。
Spotify無料版の最大の難点は、「モバイルで好きな曲を再生できない」という点です。
Spotifyスマホアプリ プレミアム(有料版) | Spotifyスマホアプリ 無料版 |
曲名が一行ずつ表示され、好きな曲から再生できる。 | すべての曲名は一行で表示され、再生はシャッフル。好きな曲は選べない。 |
自分で作ったプレイリストの使い勝手も悪い
さて、Spotifyが提供する優れたレコメンド機能はどうやって実現されているのでしょうか?
レコメンド機能やプレイリストなどは、他の音楽配信サービスでも提供されています。
それらのサービスとSpotifyでは何が違うのでしょうか?
以下の記事ではAIをつかったSpotifyのレコメンドの仕組みについて考察します。