格安SIMは実際に使ってみないと自分に合うかどうかはわかりません。大手キャリアのサブブランドから、MVNO事業者まで1年間にわたって実際に9つの格安SIMを利用してみた結果を紹介します。
格安SIMは使ってみないとわからない
2022年6月から2023年6月までの1年間、実に9社の格安SIMを試すことになりました。当初はUQモバイルから格安SIMに乗り換えようと軽い気持ちではじめました。結果的にこれだけいろいろと試すことになってしまったのは、ネットで事前に調べた情報と実際に使ってみた状況では大きな違いがあったからです。
格安SIMの通信品質は、みんそく(みんなのネット回線速度)などを調べれば ある程度予想はつきます。MVNO系格安SIMなら「格安SIMの速度ランキング」、大手キャリアとそのサブブランドなら「携帯キャリアの速度ランキング」です。
これらのサイトをみれば、利用者の平均ダウンロード速度や、どの地域でどのくらいの速度がでているかわかります。(ただし、自己申告制なので利用者が故意・過失で誤った情報を登録してしまう可能性はあります)
しかし、格安SIMの場合に気をつけなければならないのは、これらの情報をうのみにできない点です。
格安SIMでは、利用する地域、時間帯によって通信品質が大きく異なります。ネットで評判がよいように見える格安SIMでも、自宅ー職場ー外出先といった自分の生活圏内で快適に利用できるかどうかは、実際に使ってみないとわからないのです。
世の中に出回っている格安SIMのおすすめ記事は、広告収入やアフィリエイトがかかった記事である点にも注意が必要です。そうした記事では、契約報奨金がかかっていない、本当に良い格安SIMは紹介されにくいからです。
試したのはこの9社:各社の評価
さて、このような状況の中、結果的に1年間で9社の格安SIMを試すことになりました。試したのは以下の格安SIMです。
au回線/他 | docomo回線 | SoftBank回線 |
UQモバイル | HISモバイル | Y!mobile |
povo 2.0 | OCNモバイルONE | LINEMO |
楽天モバイル | 日本通信SIM | mineo(マイネオ) |
各社の利用期間は以下のようになります。
実際に使ってみたところ、当初予想していなかった意外な結論となりました。
私達が「格安SIM おすすめ」とネットで検索したときに出てくる記事とは、かなり異なる内容になっています。
以下に9社それぞれについて、契約に至る経緯、実際に使ってみた感想、利用に適したユーザー像についてまとめてみました。
UQmobile
UQmobileは、KDDIが提供するサブブランドです。
なぜ選んだか | 大手キャリアから料金を下げるために乗り換え |
使ってみた感想 | 通信品質は全く問題ない |
5段階評価 | 3 |
利用期間 | 2017年頃〜2022年7月 |
なぜ解約したか | 月間データ容量3GBを超えたときのデータチャージ料金が 500MBで550円と高い。月間3GBの上が月間15GBしかなく、料金体系に柔軟性がない |
向いているのはどんな人? | 通信品質が保証されているSIMがほしい人 |
3GBもしくは 15GBという料金体系がフィットする人 |
HISモバイル
HISモバイルは、旅行代理店のHISと、日本通信が主要株主のMVNO事業者です。
なぜ選んだか | 音声通話付きSIMで、月間データ容量3GB 770円〜という格安料金 |
使ってみた感想 | 休日や夜間は60Mbps以上の通信速度がでることがあるが、昼時の通信速度が遅くなることがある。 |
詳細レポート | |
5段階評価 | 4 |
利用期間 | 2022年7月〜2023年6月(途中から音声通話SIMのみとして) |
なぜ続けていたのか | データ使用量100MB未満の月は 290円(税込)、音声通話料が9円/30秒で最安なので、音声通話SIMとしてだけ使えば、通話料が格安にできる。 |
向いているのはどんな人? | それほど速い通信速度を求めない人(場所・時間帯によっては動画視聴は難しい) |
povo 2.0
KDDIが提供する格安SIM。データ通信も通話もしなければ料金0円というユニークな価格体系
なぜ選んだか | 使わなければ月額利用料金0円なので、ドコモかソフトバンクで通信障害が起きたときのバックアップ回線として使えると考えた |
使ってみた感想 | 通信速度もつながりやすさも問題なし
(利用レポート) |
5段階評価 | 5 |
利用期間 | 2022年8月〜現在(緊急時の予備回線として) |
向いているのはどんな人? | NTTドコモかソフトバンクの回線を契約していて、別の通信会社のバックアップ回線を格安でもっておきたい人 |
OCNモバイルONE
OCNモバイルONEは、NTTドコモ回線を利用したMVNO事業会社「NTTレゾナント」が提供する格安SIM。(注: 新規受付を 2023年6月26日で終了)
なぜ選んだか | 3GB月額990円で、NTTドコモ回線の品質が使えることを期待して |
使ってみた感想 (レポート) |
他のMVNO事業者の格安SIMでは、通信速度が遅くなりがちな平日昼間、夕方などの混雑時でも 20Mbps以上の安定した速度がでる |
5段階評価 | 4 |
利用期間 | 2022年10月〜2023年1月 |
なぜ解約したか | 他の格安SIMを試すため |
向いているのはどんな人? | 通信品質が安定した格安SIMを適度な安さで入手したい人 (現在は申し込みできません) |
楽天モバイル
楽天モバイルは、楽天が提供する格安SIMです。楽天独自の回線を利用していますが、楽天の基地局がない地域では、パートナー回線としてauの回線を利用しています。
なぜ選んだか | 3GBで1,078円、3,278円でデータ無制限のサービス品質を試してみたくて |
使ってみた感想 | 自分の生活圏内では、つながりにくい、通信速度が遅く使い物にならなかった |
5段階評価 | 1 |
利用期間 | 2022年9月(即解約) |
なぜ解約したか | 使い物にならなかった |
向いているのはどんな人? | 自分の生活圏内(自宅ー会社ー外出先)で楽天モバイルの電波が入る人 |
Y!mobile
Y!モバイルは、ソフトバンクが提供するサブブランドSIM
なぜ選んだか | auから料金を下げるために乗り換え |
使ってみた感想 | 通信速度は動画視聴でも問題ない。 |
5段階評価 | 2 |
利用期間 | 〜2022年12月 |
なぜ解約したか | 月間3GB 2,178円は、格安SIMの中ではかなり高額。LINEMOで十分。 |
向いているのはどんな人? | 通信品質がよいSoftBank回線が必要な人。 |
LINEMO
LINEMOは、ソフトバンクが提供する格安SIM
どんな格安SIM | ソフトバンクが提供する格安SIM |
なぜ選んだか | 3GBで月額990円、PayPayキャッシュバックキャンペーンも行われていたため |
使ってみた感想 | 通信速度も問題なし。(利用レポート) |
5段階評価 | 5 |
利用期間 | 2022年9月〜2023年7月 |
向いているのはどんな人? | データ利用月間3GB以下の人で月額1,000円以下にしたい人 |
ソフトバンクやY!mobileからの乗り換え |
mineo
mineo(マイネオ)は、株式会社オプティーボが提供するMVNO系格安SIM
なぜ選んだか | 3GB以上のデータ容量が必要となり、5GBで1,518円が格安だったため |
使ってみた感想 (詳細レポート) |
平日日中のデータ通信速度が極めて遅く、QRコード決算にも時間がかかることがある |
平日の混雑時間帯は動画視聴が難しい | |
5段階評価 | 2 |
利用期間 | 2023年1月〜2023年6月 |
なぜ解約をしたか | データ通信が遅くデータを消費しないため、5GBのデータを使い切れない |
向いているのはどんな人? | 自分の生活圏内(自宅ー会社ー外出先)でmineoの電波が入りやすい人 |
通信速度が遅くても問題ない人 |
日本通信SIM
日本通信SIMは、日本通信が提供するdocomo回線のMVNO格安SIMです。
なぜ選んだか | 3GB以上のデータ容量が必要となり、通信品質がよく、データ容量追加が柔軟かつ、最安値であるため。 |
使ってみた感想 | 平日日中の混雑時間帯においても、データ通信速度はLINEMOやpovo 2.0などのサブブランド格安SIMと遜色ない。 |
3GBを超えるデータ容量も 1GB 220円で追加できる | |
5段階評価 | 5 |
利用期間 | 2023年7月〜 |
向いているのはどんな人? | docomo回線で通信速度が速い格安SIMがほしい人 |
毎月3GB以上、10GB未満のデータ使用量で最も安い格安SIMがほしい人 |
結論:本当に使える格安SIMは?
以上の結果から、格安SIMとしておすすめなのは9つのうち、以下の3つとなります。
LINEMO
3GB以下のデータ容量で、通信品質が保証されており、月額1,000円以内に抑えたい人におすすめです。通信キャリアは SoftBank回線です。SoftBankのサブブランドということもあり、通信速度やつながりやすさも問題ないように思われます。
参考記事)徹底検証 LINEMO LINEギガフリーのSoftBank回線格安SIM|その実力は?
povo 2.0
月額料金0円で予備回線を確保しておきたい人におすすめです。通信品質がある程度保証されており、3GB 月額990円なので、通常のau回線として利用したいときでも十分対応できます。NTTドコモ回線を利用している「日本通信SIM」、ソフトバンク回線を利用している「LINEMO」に対抗できる料金体系、サービス内容になります。
参考記事)徹底検証 povo 2.0 月額0円からの格安SIMは副回線最有力候補|その実力は?
日本通信SIM
私が試したdocomo回線の格安SIMの中では、料金体系と通信品質において最もよい格安SIMです。docomo回線であるため通信エリアが広い点と、3GBを超える 5GB-10GBまでのデータ容量にも対応できる料金体系を持っている点が魅力です。
参考記事)探すのが非常に難しい 5GB 1,000円台前半の高品質な格安SIM|おすすめは?【2023年7月】