デスクで長時間パソコン作業をしていると、様々な体の不調が現れます。腰痛、肩こり、眼精疲労、指の関節の痛みなどです。デスクワークにつきもののこれら体の不調を和らげてくれる、おすすめオフィス用品・パソコン周辺機器を紹介します。2つ目は「モニターアーム」を紹介します。
快適なモニター環境を作る2大要素
快適なモニター環境を作るには、重視しなければならない点が2つあります。
それは、
「モニターの液晶画面自体の性能」
「モニターの位置調整」
です。
「モニターの液晶画面自体の性能」を表す要素は多数あり、モニターを選ぶときにはまずこちらに注目が行きがちです。実際、これらはモニター自体の価格を大きく左右するからです。
モニターサイズ |
21.5/23.8/27 インチ |
解像度 | Full HD/WQHD/4K |
パネル種類 | 有機EL/IPS/VA/TN |
表面処理 | グレア/ノングレア |
応答速度 | 画面を暗くしたり明るくしたりするために必要な時間。短いほど性能がよい。単位はms |
リフレッシュレート | 単位:Hz |
その他付属機能 | カメラ・スピーカー など |
例えば、以下の例のように、同じ 27インチモニターでも、上位機種と下位機種では、7倍以上もの価格差があります。
上位機種 | 下位機種 | |
製品名 |
ASUS | |
モニターサイズ |
27インチ | 27インチ |
解像度 | WQHD(3840×1140) | Full HD (1920×1080) |
パネル種類 | 有機EL | IPS |
表面処理 | ノングレア | ノングレア |
応答速度 | 0.03ms | 5ms |
リフレッシュレート | 240Hz | 75Hz |
参考価格(税込,amazon) 2024/2/25現在 |
127,936円 | 17,800円 |
しかし、腰痛・肩こり・眼精疲労といった体の不調の大きな要因であるにもかかわらず、意外と見落とされがちな項目があります。それば「モニターの位置調整機能」です。「モニターの位置調整機能」とは、「モニターの視聴距離」と「モニターの高さ」を調整することを意味します。
モニターの最適視聴距離は?
モニターの最適視聴距離の目安はあるのでしょうか?
こちらの記事に書きましたが、実はデスクワークにおいてモニターの最適な視聴距離を見つけるのは意外と難しいのです。
参考記事)間違いだらけのモニター選び(3) モニターの適正視聴距離は?
その理由は、モニターの最適な視聴距離には以下の3つの要素が絡み合っており、おおよその目安は示せても、個人差が大きいからです。
- モニターの用途
広範囲を一度に確認するが、細部を凝視することが少ない動画鑑賞では視聴距離が長く、広範囲を一度に確認することが少なく、細部を凝視することが多い事務作業では、視聴距離が短くなる傾向があります。 - モニターのサイズと解像度
モニターのサイズが大きくなれば、最適視聴距離が長くなり、解像度が高くなれば最適視聴距離が短くなります。 - 個人の嗜好と身体的能力
文字の表示サイズ、視力、視野範囲などによって、個人にとって快適な視聴距離が変わると思われます。
こちらの記事「目に優しいモニターの選び方の基本」に掲載されている表がひとつの目安になると思われますが、これもあくまで目安です。視聴距離が数センチ変わるだけで体への負担が大きく変わりますので、モニターの位置調整には細心の注意が必要です。
画面サイズ | モニターと目の距離 |
21.5インチ | 50cm |
23.8インチ | 60cm |
27.0インチ | 80cm |
モニターの高さ
もう一つ、問題を難しくするのが「モニターの高さ調整」です。
厚生労働省が出している「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、
ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下に なる高さにすることが望ましい。
と書かれています。しかし、以下の記事で書いた通り、最適なモニターの高さは、机、椅子、自分の目線の高さの相互の位置関係で決まるものです。もし、自分の目線の高さと机の間に大きな開きがあった場合、モニタースタンドでは補えない可能性があります。
参考記事)間違いだらけのモニター選び(2) モニターの高さ調整は意外と難しい?
その場合、モニタースタンドの下に、台を置いたり、本を挟んだりして微調整しようと試みるとおもいますが、数センチ単位の微調整はなかなか難しいでしょう。また安定性もよくありません。
モニターアームとは?
モニターアームとは、「モニターの最適視聴距離」や「モニターの高さ」といった「モニターの位置調整」をスムースに行うために生み出されたアイテムです。モニターの角度や位置を自由自在に変更することができます。パソコンデスクでモニターを動かして書き物をするためのスペースを作ったり、姿勢に合わせてモニターの向きを変更したりと、モニターの位置を調整することが多い人に最適です。 また、複数のモニター並べてセットするマルチモニタ環境の構築にも適します。
製品標準のモニタースタンドを使用する場合と比較し、以下のようなメリットがあります。
- 調整のしやすさ
- 移動しやすさ
- 省スペース性
- マルチモニタの快適性
標準品のモニタースタンドでも角度調節程度ならば可能なことが多いですが、安価な物だとそれすら不可能なものもあります。また、角度はともかく、高さの調整が自在に可能なものとなると相当に限られます。高性能なモニタースタンドをもつモニターを選ぶよりは、モニター本体の性能を重視してモニターを選び、モニターアームと組み合わせる方が遙かに快適なモニター環境を構築することができます。
モニターアームの選び方
「モニターアーム」には、実に多種多様な機種があります。
選び方の詳細については以下の記事に書きましたが、結論からいうと以下の3項目を満たす機種がおすすめです。
検討項目 | 求められるもの |
アームの軸数と可動域 | 標準4軸(チルト、高さ、スイーベル、ピボット)+ 360°の2軸 |
関節部の駆動方式 | コイルスプリング式、もしくはガススプリング式 |
取付方法 | クランプ式 |
参考記事)初めて買うならこれ一択!?最適なモニター環境を実現できるモニターアームのおすすめは?
モニターアームのおすすめは?
さて、実際に上記条件を満たす機種はどのようなものでしょうか?
例として3製品をあげていますが、予算に余裕があるのであれば、エルゴノミクスの製品をおすすめします。
メーカー | エレコム | amazon | エルゴトロン |
製品型番 | DPA-SS02BK | K001387 | 45-241-224 |
製品名 | モニターアーム ガス圧式 32インチ対応 |
Amazonベーシック デスクマウント シングル モニターアーム | LX デスク モニターアーム (45-241-224) |
耐荷重 | 9kg | 11.3kg | 11.3kg |
本体重量 | 2.22kg | 3.54kg | 4.42kg |
参考価格(税込,amazon) 2024/2/25現在 |
4,999円 | 16,300円 | 19,200円 |
価格の差は、モニターをどのくらい快適かつスムースに動かせるかに影響します。
エルゴトロンのモニターアームの場合には、極端な話、ミリ単位で自分の好みの場所にピタッと止められますので、位置調整作業におけるイライラは発生しません。
Amazonベーシックのモニターアームもエルゴトロンの製品と構造は似ています。しかし、実際につかってみるとモニターを動かすときのスムースさが、若干エルゴトロン製品より劣ります。1センチ単位とまではいきませんが、感覚的には 5ミリ単位で調整しているような感じです。一度場所を固定したあとに、頻繁にモニターを動かさない場合であれば、問題ないかもしれません。
私は、エルゴトロン x2, Amazonベーシック x1の3本のモニターアームでトリプルディスプレイにしていますが、よく動かすモニターにはエルゴトロン、あまり動かさないモニターにはAmazonベーシックを使っています。
ただ、もし近々、レイアウトチェンジやモニター買い替えの予定があるのであれば、エルゴトロンのモニターアームは1本持っておいたほうがいいと思います。
使い比べてみるとわかりますが、エルゴトロンのモニターアームのピタッと止まる感覚は、他社製品では真似できないと思いますし、一度使うと手放せません。