アメリカ本土でデータ通信ができるプリペイドSIMのおすすめは?購入前の注意点も解説

格安SIM 後悔しない格安SIM

日本で販売されている格安SIMには国際ローミングに対応しているものもありますが、基本的に音声通話のみ対応しており、海外でデータ通信はできません。アメリカ本土でデータ通信を行うには、アメリカの通信事業者に対応したSIMカードを用意する必要があります。アメリカ本土で使えるプリペイドSIMについて、購入前の注意点もあわせて調べてみました。

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日本の格安SIMでは海外データ通信はできない

日本の3大キャリア(NTTドコモ, au, SoftBank)が提供している料金プランでは、海外でのデータ通信も対応している場合があります。日本の3大キャリアが現地の通信事業者と提携し、スマホとSIMカードそのままで現地でもデータ通信ができるのです。

例えば、SoftBankが提供している「アメリカ放題」などはその典型的な例です。普段支払っている携帯料金のまま、追加料金なしで、アメリカ本土でもデータ通信ができます。ahamoも追加料金なしで海外でデータ通信ができます。(出典: ahamo)

ソフトバンクのアメリカ放題

しかし、その他のキャリアの料金プランでは、データ使い放題で1日あたり2,980円となり国際ローミングは非常に高額です。

NTT docomo au
海外データ定額プラン 世界ギガし放題 海外ダブル定額(アメリカ本土)
料金 2,980円/日 2,980円/日

UQmobile, など大手キャリアのサブブランドも海外でデータ通信はできますが、料金体系はどこもほぼ同じです。

有料で国際ローミングができる大手キャリアのサブブランド 格安SIM

キャリア回線 サブブランド 格安SIM
NTT docomo irumo, eximo (注:国内のデータ容量を使える場合あり)
au UQmobile, povo 2.0
SoftBank Y!mobile

一方、日本で販売されているMVNO事業者の格安SIMでは、基本的に海外でデータ通信はできません。格安SIMでも「国際ローミング」に対応しているものはあります。しかし、「国際ローミング」で利用できるのは音声通話のみであり、データ通信には対応していません。

したがって、格安SIMを使っている人が、海外旅行するときには、現地の携帯電話会社のデータ通信が使えるSIMカードを準備する必要があります。

アメリカ本土の携帯電話事情

アメリカ本土を旅行するときは、アメリカの携帯電話会社の回線を使えるSIMカードが必要となります。

アメリカの3大携帯キャリアは「Verizon」「T-Mobile」「AT&T」の3つです。
これらは、日本でいうところの3大キャリア「NTTドコモ」「au」「SoftBank」に相当するものです。

3社の特徴は以下のようになっています。

キャリア 特徴
Verizon アメリカ最大の携帯電話事業者。人口カバー率 99%、加入者数は1億4280万人
T-Mobile (US) アメリカで加入者数第2位の携帯電話事業者。2020年にSprintを買収。加入者数  1億1000万人(Q2 2022)
AT&T アメリカで加入者数第3位の携帯電話事業者。加入者数は1億160万人(Q1 2022)

海外旅行者がアメリカ本土で利用するSIMカードは、これら3大キャリアのいずれかの回線を使用しているプリペイドSIMカードです。

SIMカードは、これらの3大キャリア自体が提供している場合と、3大キャリアの回線を使ったMVNO(仮想移動体通信事業者)が提供している場合があります。アメリカにも数十のMVNO事業者があります。

(MVNO事業者とは、日本では NTTドコモ回線を利用しているIIJmio、SoftBank回線を利用しているLINEMO, mineoなどが該当します)

そのプリペイドカードの通信エリアは、基本的に元となる回線の通信エリアに依存します。そこで気になるのがこれら3大キャリアの通信エリアです。

3大キャリアの通信エリア

3大キャリアは、できるだけアメリカ本土をカバーしようとしていますが、日本と違ってアメリカの国土は広大です。都市部ではあまり差はありませんが、郊外や地方ではカバー率にかなりの差があります。都市部以外を目的地にする場合は、各社が公表しているカバレッジマップで 事前に調べておいたほうがよいでしょう。以下に3大キャリアのカバレッジマップへのリンクを貼っておきます。

T-Mobile AT&T

海外旅行者向けのプリペイドSIM(日本で購入可能)

アメリカ本土で利用できるプリペイドSIMカードは、空港や都市部の店舗でも購入することができます。しかし、慣れない土地で探すのに手間取ったり、価格相場もわからず高値で購入するのは避けたいものです。

ここでは、日本国内で事前に購入・設定ができるプリペイド格安SIMでamazonで販売されているものを紹介します。(以下に掲載した参考価格は2022年末のものです。為替レートや物価変動で価格が変わっている可能性もありますので 最新情報はAmazonなどで確認ください。)

Jethro Mobile(ジェスロモバイル)

Jethro Mobile(ジェスロモバイル)は、T-Mobileの回線を利用したMVNO事業者です。

短期・長期利用の両方に対応できるよう、様々なプランを用意しています。

それぞれのカードには、有効期限と高速データ通信ができるデータ容量制限が設けられています。

留学・出張・旅行プラン

有効期間が30日間に限定され、高速データの利用上限(ギガ数)が異なる4種のSIMカードです。(リンク

有効期間 高速データ利用上限 税込価格(円)
30日 3GB 2580
30日 5GB 3280
30日 10GB 4280
30日 20GB 5980

トラベル大容量プラン

有効期限に応じた高速データ利用上限(ギガ数)がついたSIMカードです。(リンク

有効期間 高速データ利用上限 税込価格(円)
5日 5GB 3280
7日 7GB 3880
10日 10GB 4280
15日 12GB 5180
21日 15GB 5580
30日 20GB 5980
45日 30GB 7280

tabitsu   

tabitsuは、日本の会社「株式会社 Conversity」が提供している海外プリペイドSIMのブランドです。

実際には、T-Mobile, Verizon, AT&Tが提供しているプリペイドSIMを代理店販売しています。Lycomobile というMVNO事業者のプリペイドSIMも販売しています。以下に回線種類別の商品ラインナップを紹介します。

T-Mobile

T-Mobile自体が提供しているプリペイドカードです。先に紹介したJethro Mobileと同じくらいの価格で、契約期間内のデータ使い放題を提供しています。期間は、7日間〜90日間まで10段階の中から自由に選べます。

利用期間 価格税込(円)
7日間 2,880
10日間 3,480
12日間 3,880
15日間 4,280

Lycamobile

Lycamobileは、T-Mobile回線を利用したMVNO事業者です。国内通話だけでなく、国際通話も無制限かけ放題をかかげているため、価格が若干高めになっています。(注:2023/7/6現在、品切れになっています

利用期間 価格税込(円)
7日間 2980
10日間 3680
12日間 3980
15日間 4580

VerisonとAT&T

VerizonとAT&Tも使い放題のプリペイドSIMを販売しています。しかし、日本国内で購入できるものは、30日/60日/90日間と比較的 中長期のものだけですので、1,2週間程度の短期旅行者には不向きです。

AT&T
30日間 8,480円
60日間 15,980円 15,580円
90日間 24,980円 21,980円

Mewfi 

Mewfiは、T-MobileのプリペイドSIMを販売している中華系の代理店です。T-Mobileだけでなく、世界各国の携帯キャリアのプリペイドSIMを販売しています。

T-Mobile回線について取り扱っているのは、tabitsuが代理店販売しているT-Mobile純正のプリペイドSIMカードと同じと思われます。Mewfiでの販売価格は、tabitsuよりも若干安くなっています。

利用期間 価格税込(円)
5日間 2530
10日間 3430
12日間 3680
15日間 3830
18日間 4630

アメリカ本土のプリペイドSIMのおすすめは?

アメリカ本土で旅行者が利用するプリペイドSIMですが、旅行する期間や利用方法によって使い分けるのがよさそうです。

2週間未満の短期旅行の場合、かつアメリカ本土内の通話しかしない場合には、T-MobileのプリペイドSIMがおすすめです。

逆に、2週間未満の短期旅行でも、海外から国際電話をかける可能性がある人は、Lycamobileがおすすめです。(注:2023/7/6現在、品切れになっています

滞在期間に応じて、データ容量の上限を細かく調整したい人には、選択肢がいろいろとあるJethro MobileのプリペイドSIMがおすすめです。

30日以上の中長期滞在の場合には、VerizonAT&TのプリペイドSIMがおすすめです。VerizonやAT&Tは、短期旅行用の期間が短いプリペイドSIMが日本国内で買えないようです。

T-Mobileは機内でも使える!

T-MobileのプリペイドSIMのよいところは、機内でも使える点です。

機内でWi-Fiを利用しようとすると、通常有料であることがほとんどです。
しかし、T-Mobileの利用者は機内でWi-Fiを無料で利用できます。
このサービスは、アメリカ国内の通常のT-Mobile契約者だけでなく、プリペイドSIMを保有している旅行者も利用できるのです。

このサービスが利用できる航空会社は、以下の4社に限られます。(2023年1月時点)

ユナイテッド航空 アメリカン航空 デルタ航空 アラスカ航空

また利用できるサービスは、動画以外のサービスです。テキストメッセージ、SNS、ウェブサイト閲覧、Spotifyなどの音楽ストリーミング、メールサービスなどが利用できます。

ちなみに以下のニュースリリースによると ユナイテッド航空が本サービスの対象になったのは、 2022年9月からのようです。T‑Mobile Expands In‑flight Coverage to United Airlines (2022/9/16)

T-MobileプリペイドSIMの購入先のおすすめは?

T-MobileのプリペイドSIMは日本で事前に購入できます。tabitsuかmewfiが取り扱っているものをAmazonで購入するのです。

amazonでの価格は、mewfiのほうが若干安くなっているようです。(2022/12/24現在)

tabitsu mewfi
利用期間 価格税込(円) 価格税込(円)
5日間 2560
7日間 2780
10日間 3530 3430
12日間 3880 3680
15日間 4080 3830
18日間 4180

同じT-Mobile純正のプリペイドSIMのはずなのに、mewfiのほうがamazonのクチコミ評価が悪いように見受けられます。なぜなのでしょうか?

それはおそらく、次項で説明する「購入前に確認すべき注意点」を、mewfiがきちんと記載していないためではないかと思われます。「プリペイドSIMの利用条件に合わない人」が購入してしまい、「つながらない」とクレームを上げている可能性があるのです。

購入前に確認すべき注意点

T-MobileのプリペイドSIMを購入する場合の注意点はなんでしょうか?

これは、T-MobileのプリペイドSIMカードに限った話ではありませんが、海外利用のプリペイドSIMを購入する前に確認すべきことがあります。

それは、「スマホ端末がプリペイドSIMの携帯キャリアの通信仕様に対応しているか」です。

携帯電話は国によって使っている電波の周波数帯が異なっているため、スマホ端末がその国の周波数帯に合っていないと通信できません。

iPhoneの場合は世界各国の通信規格に対応するように作られているため、問題が起きることは少ないようです。しかし、Androidスマホの場合は国内外の様々なメーカーから様々な機種が販売されています。Androidスマホは通常、販売されている国の周波数帯にあわせて調整されているため、海外に持っていってそのまま使えるとは限らないのです。

プリペイドSIMカードを海外で利用する場合には、その国のキャリアの周波数帯に対応しているか特に注意が必要です。これは、アメリカ本土だけでなく他の国でも同様です。また通信キャリアもT-Mobileに限った話でもありません。

さて、話を戻してT-MobileのプリペイドSIMについてですが、tabitsuのサイトには、以下の注意事項が書かれています。

■Android: 以下の項目全てを購入前に必ずお確かめ下さい。※全ての項目に対応している必要がございます。
 ①以下のリンクにてご利用端末のimeiを入力。
 ②ご利用端末の周波数スペックがT-Mobile主要周波数バンドB2とB4の【両方】に対応している事。
 ③非対応確認済み端末:HUAWEIなどの中国産の端末、ASUS 全機種、SONY XPERIA 全機種。

これによると、以下の3つの確認が必要となります。

  1. IMEIの確認
  2. 周波数スペックの確認
  3. 非対応確認済端末でないことの確認

IMEIの確認

「IMEI」とは端末識別番号で、「国際移動体装置識別番号(International Mobile Equipment Identifier)」の頭文字を取っています。電話番号や回線契約とは関係なく、端末が持つ固有の番号です。(出典:au

IMEIの番号を T-Mobileのサイトで入力し、アメリカ本土で利用予定のスマホ端末が T-Mobileの回線に対応しているか確認する必要があります。

周波数スペックの確認

Android端末に関するこの注意事項については、tabitsuだけでなく、Mewfiのサイトにも書かれていますが、真偽のほどがよくわかりません。

というのも、本家の T-Mobileのサイトには書かれていないからです。T-Mobileのサイトでは、先のIMEI番号での確認のみが、BYOD(Bring Your Own Device: 自分のデバイスを持ち込み)のときの注意事項になっています。

tabitsuのサイトには、「ご利用端末の周波数スペックがT-Mobile主要周波数バンドB2とB4の【両方】に対応している事」と書かれていますが、これは必須条件ではないかもしれないのです。

試しにバンドB4にしか対応していないOPPO Reno7に、T-MobileのSIMを挿してみたところ、アメリカ本土の大都市では普通にデータ通信ができました。(2023年1月現在)

しかも、日本の3大キャリア並みに高速通信で ダウンロード速度が100Mbps以上でています。

以下のようにOPPO Reno7では、4G LTEはBand 4にしか対応しておらず、Band 2には対応していません。tabitsuの注意書きによると、この端末はアメリカ本土でtabitsuのT-MobileのSIMカードでは通信できないはずなのです。

OPPO Reno7の周波数帯域 (スペック

もっともこの事実をもって、通信できることがアメリカ本土どこでも100%保証されているとは言えないと思います。利用する地域によって周波数帯域が変わって通信できなくなったり、音声通話はできないという可能性が残っているからです。

お伝えできるのは、あくまで「片方のバンドにしか対応していないAndroid端末でも、ある地域でデータ通信ができた」という事実だけです。

T-MobileのサイトでIMEI番号で調べ、お使いのAndroid端末が対応していること確認でき、それでもまだ心配な方は、確実に対応しているiPhoneを持ち込んだほうがいいかもしれません。

ちなみに私が所有している iPhoneSE 第2世代では、以下のようにバンド2とバンド4に対応しており、現地で通信できることも確認がとれています。

iPhone SE 第2世代 (スペック

非対応確認済端末でないことの確認

こちらは、おそらくIMEIの番号を T-Mobileのサイトで入力したときにも確認できると思われますが、以下の端末は非対応であることが事前にわかっています。アメリカ本土ではこれらの端末にT-MobileのSIMを挿してもデータ通信はできません。

非対応端末:HUAWEIなどの中国産の端末、ASUS 全機種、SONY XPERIA 全機種


T-MobileのプリペイドSIMに限らず、海外利用のプリペイドSIMを購入するときは、スマホ端末がその国の周波数帯に対応しているか、プリペイドSIMの通信会社がそのスマホ端末をサポートしているか事前に確認してください。