NURO光ではONU(回線終端装置)にWi-Fiルーターがついており、契約者は無料でレンタルできます。機種は9種類ありますが性能に大きく差があり、利用者が機種を指定できないためアタリ・ハズレがあるとよく話題になります。実際にアタリ機種が存在するのでしょうか。その入手方法や入手できなかったときの対処法について解説します。
NURO光 9機種のONUたち
そもそも「Wi-Fiルーター付きONU」とは?
アタリ機種はNSD-G1000T ?
NSD-G1000Tの入手方法
NSD-G1000Tは入手すべき?
NURO光 9機種のONUたち
以下のサイトに掲載されていますが、NURO光では9種類のONU(回線終端装置)を提供しています。ご提供する機器に関して (NURO光)
どの機種にもWi-Fiルーター機能が付属しており、他のプロバイダーと違って、Wi-Fiルーターを別料金でレンタルしたり、自前でWi-Fiルーターを別途購入したりしなくてよい点をウリにしています。しかし、これら9種類のうち、どの機種が届くかはそのときの状況次第です。利用者はONUの機種を指定できないことになっています。
そのため、ネットでは「○○が届いたからアタリだ」「△△が届いたからハズレだ」などの書き込みがときどき見受けられます。
これら9機種をしらべていくと、HUAWEIやZTEなどの中国・台湾メーカーの機種がほとんどです。SONYやSYNCLAYERの日本のメーカーの機種も2つあります。
以下が機種名と製造メーカー、製造国の一覧です。
機種名 | 写真 | 提供メーカー | 製造国 |
F660T | ZTE | 中国 | |
HG8045D | HUAWEI TECHNOLOGIES | 中国 | |
HG8045j | HUAWEI TECHNOLOGIES | 中国 | |
HG8045Q | HUAWEI TECHNOLOGIES | 中国 | |
FG4023B | Sercomm Corporation | 台湾 | |
F660A | ZTE | 中国 | |
SGP200W | SYNCLAYER | 日本 | |
F660P | ZTE | 中国 | |
NSD-G1000T | SONY | 日本 |
実際に、これらの機種に「アタリ」「ハズレ」はあるのでしょうか?
「ルーター付きONU」の性能を順を追って調べてみましょう。
そもそも”Wi-Fiルーター付きONU”とは?
光回線を自宅に設置する場合、「ONU」と「Wi-Fiルーター」の2つの機器が必要となります。こちらのサイト(ONU(光回線終端装置)とルーターの違い)に詳しく書かれていますが、2種類の機器の役割は異なります。要約し図にすると以下の通りです。
ONU(光回線終端装置) | 光信号とデジタル信号を相互変換する装置 |
Wi-Fiルーター | 複数の端末をWi-Fi通信でインターネットに同時接続させるための機器 |
(出典:NTT西日本)
「Wi-Fiルーター付きONU」とは、上の図の中央にある黒い2つの機器を1つにまとめたものです。その機種の性能は、「ONU」の部分の性能と、「Wi-Fiルーター」の部分の性能を合わせたものです。
ONUの性能評価
NURO光のWi-Fiルーター付きONUについて、まずはじめに「ONU」部分の性能を比較します。
といっても、光ファイバー側の仕様はほぼ同じで差がありません。(図中、左側)LANケーブルを挿し、家の中に通信を流すLANポート側の性能について確認します。(図中、右側)
9機種のWAN側(GPON)とLAN側(LANポート数)の仕様は以下のようになっています。
機種名(マニュアル)
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マニュアル最終更新日
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GPON
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LANポート数
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2020年12月
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ITU-TG.984
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1000BASE-T (3)
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2020年12月
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ITU-TG.984
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1000BASE-T (3)
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2013年11月
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ITU-TG.984
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1000BASE-T (3)
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2021年6月
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ITU-TG.984
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1000BASE-T (3)
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記載なし
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ITU-TG.984
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1000BASE-T (3)
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2021年9月
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ITU-TG.984
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1000BASE-T (3)
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2020年8月
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ITU-TG.984
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1000BASE-T (3)
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2022年1月
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ITU-TG.984
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1000BASE-T (3)
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2019年
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ITU G.984、G988
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2.5GBASE-T(1)
1000BASE-T (3)
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LANポートについては、SONY製のNSD-G1000Tだけ 2.5Gbase-Tのポートを1つ持っています。その他の機種は、共通して1000Base-Tを3ポート持っています。
Wi-Fiルーターの性能評価
次に、家の中の様々な通信機器との接続を行う、「Wi-Fiルーター」部分の性能について比較します。Wi-Fiルーターとしての性能は、以下の3点で評価します。
- 最大通信速度
- 電波の届く距離
- 同時接続時の通信安定性
しかし、この部分はメーカーによって記述の度合いがまちまちです。最大通信速度や無線アンテナの数などがマニュアルに書かれてない機種もあります。
仕方ないので、まずは対応する通信規格の違いから性能を評価します。
機種名 | 対応通信規格 | 最大伝送速度 (2.4GHz) |
最大伝送速度(5GHz) | 無線LANアンテナ |
F660T | 802.11a/b/g/n | 最大 450 Mbps | 最大450 Mbps | 送信 3×受信 3(内蔵アンテナ) |
HG8045D | 802.11a/b/g/n | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
HG8045j | 802.11a/b/g/n | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
HG8045Q | 802.11a/b/g/n/ac | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
FG4023B | 802.11a/b/g/n/ac | 最大300Mbps (802.11n) |
最大1.3Gbps | 2.4GHz 2 x 2 5GHz 3 x 3 |
F660A | 802.11a/b/g/n/ac | 最大450 Mbps (802.11n) | 最大1.3Gbps | 送信3×受信3(内蔵アンテナ) |
SGP200W | 802.11a/b/g/n/ac | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
F660P | 802.11b/g/n/ax | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
NSD-G1000T | 802.11b/g/n/ax | 最大 1150 Mbps | 最大 4800 Mbps | 送信 4×受信 4(内蔵アンテナ) |
Wi-Fi通信規格はには以下の3つがあり、一般的に数字の大きい方が性能が高い規格です。
NURO光のWi-Fiルーター付きONUでは、Wi-Fi 4の機種が3種、Wi-Fi 5の機種が4種、Wi-Fi 6の機種が2種類となっています。
Wi-Fi 4 | 802.11a/b/g/n |
Wi-Fi 5 | 802.11a/b/g/n/ac |
Wi-Fi 6 | 802.11b/g/n/ax |
ZTEのF660PとソニーのNSD-G1000Tだけが、Wi-Fi 6に対応しています。
アタリ機種はNSD-G1000T ?
2020年後半から、パソコンやスマホにWi-Fi 6が搭載されてきています。そのため、いまから入手するWi-Fiルーターで、Wi-Fi 6に対応していないものを無料で配られても、NURO光の高速通信の真価を発揮できないのであまりありがたくありません。
Wi-Fi 6対応ルーターがついているONUは、ZTEのF660PとソニーのNSD-G1000Tだけですが、そのうち、 ソニーのNSD-G1000Tだけが最大伝送速度や無線アンテナの数について詳細に記載しています。ZTE F660Pには詳細記述がありません。
参考記事) ZTE製ZXHN F660Pは”アタリ”で、ZXHN F660Aは”ハズレ”説は本当か?
ONUの性能、Wi-Fiルーターとしての性能を比較してみると、NURO光のWi-Fiルーター付きONU9種の中で、もっともスペックが高く、信頼できる機種は、ソニー製のNSD-G1000Tです。
以下にInternet Watchのレビュー記事がありますが、Wi-Fi接続で1.2Gbpsが出せるなど、他のONUとは異なる高スペックと思われます。
ソニーのWi-Fiルーター内蔵型ONUの実力とは?2.5GBASE-TとWi-Fi 6に対応、NURO 光の「2Gbps」をフルに活用!
他のONUとくらべたときに、このソニー製ONUを指定したい、あるいは自分が持っているONUと交換したいと思う人も多いことでしょう。
しかし、残念なことに、ある特殊な契約を結ばない限り、新規契約者がこのONUを手にすることはありませんし、既存契約者が無料で交換してもらうことはできません。
また、ONUの不具合で交換を依頼したときでも、この機種を手に入れることはできません。
NSD-G1000Tの入手方法
ただ、このONUを確実に入手できる、ある特殊な契約があります。
それは、2022年から提供が開始された「NUROスマートライフ」。
初期費用5,500円、月額550円で、ソニー製のONU 「NSD-G1000T」を提供するというものです。
新規加入時に申し込んでいなくても、NURO光の会員ページにログインし、「オプションサービス・利用状況」の欄から加入後でも申し込むことができます。
最大通信速度4800Mbpsの高速ONUを本サービス限定で提供
最新の無線通信規格Wi-Fi6(11ax)に対応したソニー製ONUを、「スマートライフ」のサービスを利用されるお客さまに限り提供します。
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NSD-G1000Tは入手すべき?
以下の2つの理由から、「NUROスマートライフ」を無理に契約して「NSD-G1000T」を入手するより、Wi-Fi 6対応のルーターを購入することをおすすめします。
1.コスパが悪い
「NUROスマートライフ」する前に気をつけていただきたいのは、これのサービスはレンタルだということです。分割払いではないため、いくら支払ってもNSD-G1000Tは自分のものになりません。NURO契約が終了した時点でこのONUは返却することになります。
最大2ヶ月無料としても、最初の1年で11,000円かかります。
初期費用 5,500円 + 月額 550円 x 10ヶ月(最初の2ヶ月は無料) = 11,000円
たった1年のレンタル契約でも、かなりスペックの高めのWi-Fi 6対応の外付けルーターが買えてしまう金額です。「NUROスマートライフ」ではONUは自分のものになりませんが、Wi-Fiルーターを購入した場合は当然自分のものになります。
ちなみに、Wi-Fi 6対応ルーターがいくらくらいで買えるのかを以下に書きました。よろしければ参考にしてください。
参考)NURO光の性能を引き出し800Mbpsを手に入れる!バッファローWi-Fi 6ルーターの選び方
2.ルーターとしての性能が未知数
SONYブランドに惹かれる人は多いと思いますが、家庭用通信機器メーカーとしてのSONYの実力は未知数です。長年 無線通信機器を製造販売してきた「バッファロー」「アイ・オー・データ」「NEC」などの製品に比べると、実績面では不安が残ります。
というのも、NURO光のWi-Fiルーター付きONUは、同時接続数や利用するアプリによって通信障害が起きる機種があるからです。これはカタログスペックだけからではわかりません。
参考)NURO光の唯一のデメリット? ZTE製ONUで無線LANが途切れる場合の対処法
SONY製NSD-G1000Tの入手にこだわるよりも、Wi-Fi 6のルーターを購入して、通信の安定性を確実にしたほうがよいように思います。
Wi-Fiルーターの簡単な選び方については、いくつか記事を書きましたので参考にしてください。