格安SIMに乗り換えて後悔する場合はいろいろあります。最も問題となるのが実際の「つながりやすさと通信速度」でしょう。平均通信速度やクチコミを載せて比較しているサイトは山ほどありますが、実態がよくわかりません。実際にHISモバイルを使ってみて遭遇した問題、回避策について説明します。
- HISモバイルを選んだ理由
- HISモバイル:通信速度とつながりやすさの実態は?
- HISモバイルを使っていて困った場面
- その他のデメリットは?
- HISモバイルのメリットは?
- HISモバイルの問題:回避策は?
HISモバイルを選んだ理由
以前はUQ mobileを使っていましたが、毎月3GB程度のデータ量なのに通話料も入れると3,000円超えになることが気になっていました。HISモバイルは、月額最低料金、通話料、データ追加料金が他の格安SIMと比べて圧倒的に安いことから契約し、使ってみることにしました。
HISモバイル:通信速度とつながりやすさの実態は?
格安SIMに乗り換えを検討しているときに、最も気になるは「通信速度」と「つながりやすさ」でしょう。平均速度やクチコミはネットで探せますが、実際に様々なシーンで使ったときの測定データを掲載しているサイトはほぼ皆無です。
HISモバイルはMVNO事業者の格安SIMです。OCNモバイルONE、LINEMO、povo 2.0など大手キャリアが提供している格安SIMに比べ「価格が安い分、通信速度が遅いのではないか」と気になる人も多いでしょう。
みんそく(みんなのネット回線速度)のサイトによると、HISモバイルの全国平均ダウンロード速度は 50.0Mbpsとなっています。(出典:格安SIMの通信速度レポート一覧)
実際のところはどうなのでしょうか?
結論から言うと、
- 速いときもあるが遅いときもある
- つながるときがほとんどだが、まれにつながらないときがある
です。
こちらがダウンロード速度の実測データです。
サンプルデータは、休日の都内、平日の職場、平日の店舗、平日の自宅で取りました。
休日昼間 都内
|
平日日中 職場 | 平日日中 飲食店 ( 地下) | 平日日中 自宅 |
96.3Mbps | 61.3Mbps | 低速 or つながらず | 17.6Mbps |
見ていただくと分かる通り、場所や日時によって「通信速度」と「つながりやすさ」にかなりばらつきがあります。
格安SIMを通信速度について議論するときに、平均速度を議論してもあまり意味はないように思います。
HISモバイルを使っていて困る場面
私は自宅でも職場でも高速Wi-Fi回線が用意されており、外出先で動画をみることはないので、通信速度についてはそれほど重視していませんでした。しかし、「どこでつながらなくなるか、速度が遅くなるかが予測できない」ことが問題になる場合があります。
HISモバイルでを使っていて、一番困ったのがお店でのQRコード決済の場面です。
飲食店やショップでQRコード決済をしようとしたときに、その店がたまたまビルの地下など電波の入りづらいところにあったとします。PayPay、d払い、LINE Pay、楽天ペイなどのQRコード決済は、支払いにリアルタイムでの通信が必要になりますので、通信ができないと決済できません。通信速度が遅いと決済に時間がかかり、後ろで精算に並んでいる人をイライラさせることになります。通信ができない場合は、現金など別の方法で支払う必要があります。
注)モバイルSUICAなどの非接触ICチップを使った決済サービス(電子マネー)は、スマホの中に残高情報が記録されています。そのためモバイル通信ができなくても、スマホの電源さえ入っていれば(電源OFFでもバッテリーが残っていれば)残高の範囲で決済ができます。しかし、残高不足の場合は通信しないとチャージができないため、決済できないことになります。
QRコード決済 | 電子マネー | |
具体例 | PayPay,LINE Pay, 楽天ペイ, d払い | モバイルSUICA,モバイルPASMO, nanaco |
決済 | モバイル通信が必要 | モバイル通信は不要 |
チャージ | モバイル通信が必要 | モバイル通信が必要 |
またテザリングをしてパソコンをつなぐというのも、この通信速度やつながりやすさではちょっと難しそうです。
電波の入りづらい場所にあり、無料Wi-Fiがないカフェでパソコンを使おうとしても、通信できない場合もあったからです。
その他のデメリットは?
その他の注意点について以下に挙げます。
これはHISモバイル特有のデメリットというよりも、ほとんどの格安SIMに共通する注意点です。
- キャリアメールが使えない
- LINEの一部機能に制限
格安SIMのデメリットについて詳細を知りたい人は、以下のサイトなどをみてください。
格安SIM、格安スマホのメリット、デメリット
また、契約開始・途中で発生する料金にも注意ください。
- 事務手数料 税込3,300円
- SIM再発行手数料
SIMカードを紛失することはほぼないと思いますが、以下のような場合にSIM発行手数料がかかるときがあり、注意が必要です
- nano-SIMカードからeSIMに変更する場合
- eSIMをつかっていて機種変更をする場合
HISモバイルのメリットは?
これまで、通信速度やつながりやすさについてもデメリットばかり取り上げてきましたが、HISモバイル他の格安SIMにない優れた点もあります。
通話料金が安い
HISモバイルのよい点の1つが通話料金の安さです。通話オプションをつけない場合、他の格安SIMでは22円/30秒が一般的ですが、HISモバイルではその半額以下の9円/30秒です。通話オプションをつけて毎月500円、1000円を払うのは抵抗あるが、たまに発生する通話料金を安くしたい人にはおすすめです。
HISモバイル | 他の格安SIM |
9円/30秒 | 22円/30秒 |
月額最低料金が安い
月額最低料金が他社に比べて安い点も魅力です。
データ追加料金が安い
データ追加料金は意外と見落としやすいポイントですが、データ追加料金も重要です。HISモバイルは 1GBあたり税込200円と他の格安SIMに比べ半額以下になっています。
データチャージ料金(1GBあたり) | 格安SIMの例 |
300円未満 | HISモバイル (1GB 200円) |
300円〜500円未満 | povo 2.0 (1GB 390円/7日間有効) |
500円〜700円未満 | LINEMO (1GB 550円) |
1,000円以上 | Y!mobile (0.5GB 550円) |
ふるさと納税寄付金を事務契約手数料に充当できる
HISモバイルでユニークなメリットは、ふるさと納税で初期事務契約手数料を払う仕組みがある点です。
つくばみらい市へのふるさと納税で、エントリーパッケージを入手することで 3,300円の事務契約手数料に充当することができます。こちらは 実際には無料というわけではありませんが、おもしろい試みです。(詳細)
HISモバイルの問題点:回避策は?
「通信速度」と「つながりやすさ」に不安があるのでHISモバイルは利用しない という人もいるかもしれません。
しかし、「月額最低料金」「通話料金」「データ追加料金」については、他の格安SIMより圧倒的に安いため、そのメリットをそのまま捨てるももったいない気がします。
なにかよい解決策はないでしょうか?
実は解決方法はあります。
私が実際に行っているのは、「デュアルSIM機能を使って他の格安SIMと組み合わせて使う」方法です。
デュアルSIMとは、2つの格安SIMを1つのスマホで同時に使う機能です。
HISモバイルの弱点は、通信速度とつながりやすさでした。
HISモバイルのメリットである通話料金やデータチャージ料金の安さはそのまま活用します。
HISモバイルのデメリットである通信速度とつながりやすさを補う別の格安SIMを探し、デュアルSIMにして機能を使い分ければよいのです。
しかし、その弱点を補うにしても、別の格安SIMの初期費用や月額料金が高いと格安SIMを使うメリットがなくなってしまいます。
欲しいのは、初期費用やSIM発行手数料が無料で通信速度と品質がよい格安SIMです。
条件に合うそのような格安SIMはあるのでしょうか?
格安SIM |
HISモバイル
(自由自在290プラン)
|
欲しい別の格安SIM |
回線 | NTTドコモ | |
初期費用 | 3,300円 | 無料 |
最低料金 | 290円(100MBまで) | |
3GB基本料金 | 770円 | |
追加データチャージ料金(1GB) | 200円 | |
通信速度(通常時) | 10Mbps | 30Mbps前後 |
通信速度(最も遅いとき) | N/A | どこでもつながる |
音声通話料金(円/分) | 18円 | |
SIM再発行手数料 | 3300円 | 無料 |
青字部分がHISモバイルの弱点。
次の記事で、具体的な格安SIMを紹介します。