ボルドーの名門シャトー グリュオ・ラローズ(Gruaud Larose)訪問記

フランス・海外旅行

念願のワインの名産地ボルドーに訪問し、名門シャトー グリュオ・ラローズ(Gruaud Larose)で試飲をしてきました。体験をレポートします。

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念願のボルドー近郊は世界遺産の宝庫

ワインに関心がある人なら、一度は訪れたいワインの名産地”ボルドー”。

過去3回フランスを訪れてはいますが、ボルドーはフランス南西部に位置し、パリから遠いということもあって、一度も足を運んだことはありませんでした。

今回は、羽田からパリを経由し、ボルドーに直接乗り込む形でフランス旅行がスタートしました。

フランス地図 パリ〜ボルドー間は約500km。東京〜大阪間とほぼ同じです。飛行機なら約1時間、TGVなら2時間、車なら5〜6時間かかります。

(地図出典:紀行地図

ボルドーといえば、ブルゴーニュと並ぶ、フランスのワイン2大名産地です。ボルドーの市内中心部は「月の港」としてユネスコ世界遺産に登録され、18世紀の壮麗な建築群やガロンヌ川沿いの景観が魅力です。

ブルス広場 ガロンヌ川に面したブルス広場
(出典: Wikipedia)

さらに、ボルドーから約40km東にあるサンテミリオンは、中世の街並みと伝統的なワイン造りで知られており、おなじく世界遺産に指定されています。

サンテミリオンの街並み サンテミリオンの街並み。坂が多い。マカロンの発祥地とも言われている。

また、ボルドーの近くを流れるガロンヌ川から、トゥールーズを経由して地中海沿岸まで続く「ミディ運河」は全長約240kmの人工運河で、こちらも世界遺産に登録されています。

フォンセランヌの7段ロック ミディ運河の地中海寄りのベジエ市にあるフォンセランヌの7段ロック(写真は第1ロック)。当時は標高差 21 m を7つの閘門(ロック)を使い1時間かけて船を上下させていた。

プライベートワイナリーツアー

さて、今回ボルドーのワイナリーを巡るにあたって、当然試飲をするつもりなので、自分で運転するわけにはいきません。そこで、プライベートワイナリーツアーを現地のガイドさんにお願いしました。

「ボルドー」と一口にいっても、約40km四方の範囲に、複数の著名なワイン生産地区が分散して存在しており、それぞれのワインの特徴は異なっています。

ボルドーのワイン生産地区 ボルドーのワイン生産地区
(出典;JOYLAB)

ジロンド川をはさんで左岸には、カベルネ主体のメドック(Medoc)、グラーヴの他に、甘口デザートワインで有名なソーテルヌがあります。ジロンド川の右岸にはメルロー主体のサンテミリオン、ポムロールなどの生産地区があります。それらの地区を結ぶ便の良い公共交通機関はありません。複数のワイン生産地区を効率よく訪問するには車でまわるしかありませんが、自分で運転したら試飲はできません。そこでワイナリーツアーに参加することになります。

今回お願いしたガイドさんには、こちらの参加者のプロフィールを事前に伝えつつ、おすすめのワイナリーや1日で回れるコースをご提案いただきました。

できれば5大シャトーがあるメドック地区と、サンテミリオン、ソーテルヌ地区をまわりたかったのですが、それぞれが離れているため、あいにく1日で3ヶ所は回りきれないとのこと。泣く泣くメドックとサンテミリオン地区に絞ってツアーを組んでいただきました。

メドックにあるシャトー・ラトゥールなどの5大シャトーは、予約が困難な上、ツアー料金がべらぼうに高いため、おすすめできないとのこと。シャトーの門の前で写真撮影ストップにとどめました。

シャトー グリュオ・ラローズへ

さて、今回のガイドの方におすすめいただいたメドック地区のシャトー(ワイナリー)が、シャトー グリュオ・ラローズ(Chateau Gruaud Larose)です。 1725年に設立され、長い歴史を持つ家族経営の名門シャトーであり、プライベートツアーの予約を受付けており、試飲もできます。

最近のボルドーのシャトーでは、1日数組のプライベートツアーしか受け付けていないようです。1組1組に丁寧に説明し、シャトーとワインを理解してほしいという思いがあるようです。この点は、商業主義的なアメリカのナパバレーのワイナリーとは対照的です。ナパの著名なワイナリーは常に観光客でごったがえしており、売店はワインを買い求める人が列をつくっていましたので。

このシャトー グリュオ・ラローズは、いくつかご提案いただいたシャトーのうち、希望する日程で予約がとれた唯一のシャトーでした。人気のシャトーは予約を取るのが難しいので、少なくとも訪問の一ヶ月以上前に予約を取る(ガイドさんに取ってもらう)ことをおすすめします。

グリュオ・ラローズでは見学者向けに6つのツアーが用意されています。今回は初心者向けの3つのツアーのうち、その名の通りもっともベーシックな「The Essential Tour」に参加しました。

The Essential Tour Secrets of the terroir A Royal marriage
所要:1時間半 所要:2時間半 所要:1時間半
50ユーロ/人 125ユーロ/人 60ユーロ/人
– 2 Château Gruaud Larose
– 1 Sarget de Gruaud Larose
– Chocolate pairing
– 2 Château Gruaud Larose
– 1 Sarget de Gruaud Larose
– Chocolate pairing
– 2 Château Gruaud Larose
– 1 Sarget de Gruaud Larose
– 3 sweet and savoury macarons

このツアーでは、シャトーの塔からの景色、ワインの醸造過程、地下のワインセラーを見学し、そのあと3種のワインとチョコレートのペアリングを体験することができます。

なお、シャトーではフランス語での説明が基本で、お願いすれば英語でも対応してくれますが、日本語はまず無理です。フランス語も英語もNGの場合には、日本語のガイドさんを頼むことをおすすめします。

The Essential Tourの内容

「The Essential Tour」は、まずブドウ畑の真ん中にそびえ立つ塔への訪問から始まります。この塔は見学者に素晴らしい景色を提供するために2014年に建設されました。プライベートツアーの見学者にシャトーの全体像とブドウ畑の風景を見せるのが主な目的ですが、たまに、ブドウ畑の作業の様子をみるために使うとのことでした。塔の頂上からは、広大なブドウ畑と周囲の美しい風景を一望することができます。

tower ブドウ畑の真ん中にそびえ立つ地上4階のタワー。エレベーターで最上階まで上がります。
タワーからみたブドウ畑 タワーの上から見えるのは、シャトーのブドウ畑だけでなく、はるか彼方の他のワイナリーのブドウ畑まで一望することができます。訪問したのは冬だったので、剪定作業がおわったブドウの木が整然と並んでいます。
タワーから見たシャトー タワーの上から見たシャトーグリュオ・ラローズ。

次に、タワーを降りて、シャトーの建物に戻ってワインの醸造過程を学びます。Château Gruaud Laroseでは、木製、ステンレス、コンクリートの3種類のタンクを使用しています。木製のタンクはファーストワインの製造に使用され、コンクリートタンクはセカンドワインの醸造に、ステンレスタンクはワインの保管に利用されています。

ステンレスタンク ワインを保管するステンレスタンク。この日は、複数タンクをホースで繋いでワインのブレンド作業が行われていました。
木樽 たくさんの木樽に詰められたファーストワインが地下のセラーで熟成されています。

さらに地下のワインセラーには、各年代のワインが保管されていました。なかには100年を超えるワインもあり、古いものはホコリをかぶっていました。ただ、これらのワインは売り物ではなく、たまにサンプリングして飲むことはありますが、飲み頃は過ぎているとのことでした。

地下のワインセラー

ツアーの最後には、3種のワインとチョコレートのペアリングを体験します。

試飲するワインは、シャトーを代表する銘柄「Château Gruaud Larose」をヴィンテージ(年代)を変えて2種類と、セカンド・ワインである「Sarget de Gruaud Larose」を1種類、合計3種類です。

ツアーは同じ時間帯には1組しか受け付けません。そのため、午後の暖かな日差しが差し込む試飲ルームで、他のお客さんを気にせず、ゆっくりとワインを楽しむことができました。

試飲ルーム

それぞれのワインは、特定のチョコレートと組み合わせることで、味わいの相乗効果を生み出します。このチョコレートは有名パティシエに依頼し、それぞれのワインにベストマッチするように作ってもらっているそうです。

ワインとペアリングするチョコレート 3種類のワインにあわせて、3種類のチョコレートが、それぞれ1人2個ずつ提供されます。

例えば、カベルネ・ソーヴィニョン主体のワインは、ダークチョコレートとの相性が抜群で、ワインの深みとチョコレートのほろ苦さが絶妙に調和します。メルロー主体のワインは、ミルクチョコレートとの組み合わせで、よりまろやかな味わいを楽しむことができます。

試飲が終わるとワインを購入するかどうか聞かれます。決して押し売りするような感じではなく、「気に入ったらどうぞ」という感じです。ワインの種類とヴィンテージごとの詳細な価格表が提示されますので、自分の好みと懐具合にあったものを選びます。私は、飲みやすかったセカンドワインのSargetを1本だけ購入しました。

Sarget Gruaud Larose 2012 Sarget de Gruaud Larose 2012
(42ユーロ)

別れ際にシャトーの説明が書かれた小冊子がもらえます。(これだけなぜか日本語)

シャトーの歴史 13 x 20cm 厚さ 1cmのシャトーの歴史が書かれたパンフレット。意外とかさばるので置いていくか悩みましたが、記念なので頑張って日本に持ち帰りました。

ボルドーには多数の個性豊かなシャトーがあり、シャトーの歴史やワインの魅力を教えてくれます。その中でもChâteau Gruaud Laroseは、ワイン初心者でも楽しめるツアーを手頃な価格で提供し、ボルドーワインに対する理解を深めさせてくれる魅力的なシャトーの1つだと思います。