航空会社ラウンジ利用と無償アップグレードを期待して、デルタ・アメックス・ゴールドカードに入会してみました。実際にどのようなメリットがあるのか、実体験をもとに整理しました。
- デルタ・アメックス・ゴールドカードの入会動機
- デルタ航空のラウンジ「デルタ スカイクラブ」
- デルタ航空の座席クラスはややこしい?
- デルタ航空 座席アップグレードの注意点
- 実際にアップグレードはできたのか?
デルタ・アメックス・ゴールドカードの入会動機
1年ぶりのアメリカへの海外出張。会社の同僚たちは皆JALやANAの直行便を選んで旅行手配しています。しかし私はあえて別の航空会社の経由便を選びました。その理由は別の航空会社なら、航空会社ラウンジを使ったり、無償アップグレードでビジネスクラスに搭乗ができるのではないか考えたからです。
JALやANAの直行便は、利用者も多く座席はいつも満席。フリークエントフライヤーでない一介の旅行者には無償アップグレードのチャンスはほぼ皆無です。
また、最近ではJALとANAの航空会社ラウンジは、利用者で溢れかえっているという情報もあります。その理由は、JALやANAのフリークエントフライヤー制度。JALやANAのでは、一定のフライト実績を積むと会員用のクレジットカードを更新し続ける限り、永久にビジネスクラスラウンジの利用が可能となります。そのため、永久会員の数が年々累積していき、ラウンジの混雑に拍車をかけているようなのです。
そうした不満を避けるべく、私が注目したのが、デルタ航空とデルタ・アメックス・ゴールドカード(正式名称は、「デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス®・ゴールド・カード」)です。
調べていくと以下のようなメリットがわかったので、穴場狙いでカード入会してみることにしました。
- デルタ航空は羽田空港に専用ラウンジを開設している。
- デルタ・アメックス・ゴールドカードは、デルタ航空スカイマイル上級会員資格「ゴールドメダリオン」を、カード入会から1年間無条件で提供
- 「ゴールドメダリオン」資格があれば、デルタ航空のラウンジ利用が可能
- 「ゴールドメダリオン」資格があれば、ある条件下での座席無償アップグレードが可能
年会費は28,600円 (税込)と少々お高めですが、海外出張の際の行き・帰りに航空会社ラウンジが使え、座席無料アップグレードの可能性があるのであれば安いかもしれません。
「ゴールドメダリオン」の資格は、2年目以降は、年間150万円以上のカード利用実績があれば継続されます。支払いをすべてアメックスにすれば、年間150万円以上というのは、余裕で達成可能です。(ちなみに、入会から3ヶ月以内に150万円以上利用なら 24,000ボーナスマイルがつくそうですが、さすがにこれは達成できませんでした。)
デルタ航空のラウンジ「デルタ スカイクラブ」
さて、今回のゴールドカード入会によって得られるメリットの1つ、「航空会社ラウンジ利用」について説明します。
2025年1月現在、羽田空港第3ターミナル(国際線)に専用ラウンジをもっているのは、JAL、ANA、キャセイパシフィック、デルタの4社のみです。(出典:羽田空港 航空会社ラウンジ)
デルタ航空のラウンジは「デルタ スカイクラブ」と呼ばれ、羽田空港には2022年7月29日に開設されました。
(出典:マイナビニュース 羽田空港にデルタ航空の新ラウンジがオープン! 豪華な施設内をレポート、航空新聞社 デルタ航空 羽田空港に 「デルタ スカイクラブ」開設 )
これらの記事をみる限り、ラウンジの特徴としては、
- 総座席数230席、延べ床面積867㎡
- 富士山を一望できる広々した空間
- 作りたての食事が味わえる
- フルサービスのバーカウンター
です。
出典:マイナビニュース |
これまではクレジットカードの付帯サービスで、TIAT LOUNGEやSKY LOUNGEを無料で利用していましたが、それよりは飲食面においてかなり良いサービスのようです。
JALやANAの航空会社ラウンジのように混雑していなければ、出発前の時間を相当快適に過ごせそうです。
デルタ航空の座席クラスはややこしい?
さて、もう一つのメリットである「無償アップグレード」について説明する前に、デルタ航空の座席クラスについて説明します。
一般的な航空便の座席クラスの種類は、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスです。しかしデルタ航空の座席クラスは少しややこしく、一般的な用語と意味合いが異なるので注意が必要です。
クラス | 位置づけ | サービス内容 |
デルタ・ワン | 国際線の最上位のクラス。他の航空会社のビジネスクラスに相当 | フルフラットベッド、個室空間、最上級の食事 |
ファーストクラス | 一部の国内線や短距離国際線で利用可能な上位クラス。 | 短距離路線なので、サービスは限られ、デルタ・ワンほどの豪華さはない。 |
プレミアムセレクト | ビジネスクラスとエコノミークラスの中間的な位置づけ | エコノミークラスより快適な座席。エコノミークラスより上質なアメニティと食事 |
コンフォートプラス | メインキャビンより多少サービスがよい、エコノミークラス | メインキャビンよりやや広い座席。食事はメインキャビンと同じ。 |
メインキャビン | 標準的なエコノミークラス | |
ベーシックエコノミー | 格安航空券で手配された変更・キャンセル不可のエコノミークラス |
どの行き先にもすべてのクラスが設定されているわけではありません。例えば、デルタ航空の標準的な国際線として「羽田発―ロサンゼルス行き」 便名 DL0006を調べてみます。
どの便がどの機種を利用しているかは、羽田空港の国際線フライトのページでも調べられます。
機種欄に「359」と書いてありますが、これは「Airbus A350-900」の略です。
次に、デルタ航空の Airbus A350-900の座席配置を調べてみます。デルタ航空のページで「旅行情報」ー>「機材」で調べられます。
座席仕様をみてみると、デルタ・ワン 32席、プレミアムセレクト 48席、コンフォートプラス 36席、メインキャビン 190席であることがわかります。
細かい座席表も表示されているので、どの席が機体のどの位置にあるか一目瞭然です。
デルタ航空 無償アップグレードの注意点
さて肝心な無償アップグレードですが、アップグレードできるタイミングと座席クラスについて制約があります。
まず、アップグレード可能なクラスについては、米国50州以外(つまり国際線)のプレミアムセレクトとデルタ・ワンは、無償アップグレードの対象外という点に注意が必要です。(出典:デルタ航空 メダリオン会員向けアップグレード)
つまり、昔、航空便の座席が比較的空いていた時代に、「無償でビジネスクラスにアップグレードされた」みたいなおいしい話は デルタ航空においては残念ながらありません。この点は、当初私も勘違いしており、あとから気づきました。
次に、アップグレードのタイミングと優先順位についてです。ゴールドメダリオン会員については、コンフォートプラスへのアップグレードは、出発72時間前から可能になります。アップグレードの優先順位についてはかなり複雑で、以下のようになっています。
メダリオン会員資格保有者が最優先されますが、ゴールドメダリオンの上位には、ダイヤモンドおよびプラチナ メダリオン会員がいます。ただ、これら上位の会員資格の方が、エコノミークラスで予約することはないように思います。よってゴールドメダリオン資格があれば、コンフォートプラスへの無償アップグレードの競争率は低く、実現しやすいと思われます。(もちろん、座席に空きがある場合)
実際にアップグレードはできたのか?
さて実際のアップグレードはどうでしょうか?空席が多い国際線で、正規のエコノミークラスのチケットで試してみました。アップグレード目標は、ビジネスクラスとエコノミークラスの中間に位置づけられる「プレミアムセレクト」です。
出発5日前
出発5日前で、プレミアムセレクトが20席、コンフォートプラスが6席残っていました。このときの有償アップグレード価格は、エコノミーからプレミアムセレクトが $299、エコノミーからコンフォートプラスが $159となっています。ドル円が150円とすると、$299は 45,000円を超えます。十数時間のフライトのために払うお金としてはちょっとためらわれます。
無償でアップグレードできるのは、コンフォートプラスまでなので、搭乗72時間前に、まずはコンフォートプラスへのアップグレードを目指します。
出発72時間以内
さて、問題の出発72時間前を切りました。しばらくしてデルタ航空のアプリで確認すると、コンフォートプラスまでは、無償でアップグレードできるようになっていました。そこでまずコンフォートプラスに座席を変更してみます。
さて、改めてアプリで有償アップグレードの価格を調べてみます。
座席がアップグレードしたためなのか、プレミアムセレクトへのアップグレード価格が下がったように見えます。72時間前までは、$299だったのが、コンフォートプラスにアップグレードしてから確認すると、$199に変わっていました。
プレミアムセレクトへのアップグレード価格が$199に下がっている。72時間を切ってからの空席状況で価格がダイナミックに下がったのか、コンフォートプラスに無償アップグレードしたため、差額が下がったのかは不明 |
日本円に直すと ドル円150円と仮定して 約3万円です。
以下の記事にあるように、プレミアムセレクトは 他の航空会社のプレミアムエコノミーに比べて、よりビジネスクラスに近いサービスです。(出典:名鉄観光 デルタ航空のプレミアムエコノミークラス )
座席のリクライニングはエコノミークラスより最大75%広く、足元は最大約20cm広い | イタリアのブランドAlessiの食器で提供され、レストランにいるような気持ちで食事ができる |
「これらのサービスを3万円で体験できるなら試す価値あり」と判断し、プレミアムセレクトに有償アップグレードしました。どんなサービスが受けられるのか楽しみです。
ただし、プレミアムセレクトの航空券では、デルタ航空のラウンジは使えません。その部分は、デルタ・アメックス・ゴールドカードが提供する「ゴールドメダリオン」会員資格でカバーします。
これら、デルタ航空のラウンジ「スカイクラブ」と「プレミアムセレクト」の体験については、改めて記事を書きます。