羽田空港第3ターミナルには、4つの航空会社ラウンジがあります。そのうちの1つで、情報が少なく実態がわかりにくい、デルタ航空の「スカイクラブ」を利用する方法について調べてみました。
羽田空港第3ターミナルにある航空会社ラウンジ
羽田空港第3ターミナルは、海外航空会社が運航する国際線の発着ターミナルです。JALやANA以外の航空会社で海外に出かける場合に利用する人も多いでしょう。
羽田空港 第3ターミナルには、以下の4つの航空会社ラウンジ があります。
日本航空(JL/JAL) | サクララウンジ / ファーストクラスラウンジ |
全日本空輸(NH/ANA) | ANA LOUNGE / ANA SUITE LOUNGE |
キャセイパシフィック航空(CX/CPA) | キャセイパシフィック・ラウンジ |
デルタ航空(DL/DAL) | デルタ スカイクラブ |
JAL、ANA、キャセイパシフィックについては、リンク先をみるとラウンジの様子や利用条件がすぐわかるのですが、デルタ航空のスカイクラブだけは、Webサイトが整備されておらず、実態がわかりにくくなっています。
JAL サクララウンジ | ANA LOUNGE |
キャセイパシフィック・ラウンジ | デルタ スカイクラブ |
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ただ、一部のブログ記事などでデルタ スカイクラブの内部の様子が写真入りで紹介されています。
JALやANAのラウンジに比べて良いかどうかまではわかりませんが、これらの写真を見る限り、TIATの共同ラウンジで過ごすよりも、空港で待つ時間を快適に過ごせるように思います。
デルタ航空を利用する機会ができたので、スカイクラブを利用する方法がないか調べてみました。
デルタ航空が加盟するSkyTeamとは?
ラウンジ利用の条件について知るには、まず、デルタ航空が所属するアライアンスとデルタ航空そのもののFrequent Flyer制度について理解する必要があります。
デルタ航空は、SkyTeamという航空会社アライアンスに加盟しており、JALが加盟するOneWorldや、ANAが加盟するStar Allianceに加盟していません。日本国内で提携している航空会社がないため、日本人でデルタ航空を積極的に利用する人はいないでしょう。情報が少ないのもそのせいかもしれません。
SkyTeamには、20の航空会社が加盟しており、そのうち代表的な航空会社は以下の通りです。
- デルタ航空
- エールフランス
- 大韓航空
- KLM
- ベトナム航空
- ヴァージン・アトランティック航空
デルタ スカイクラブの利用条件は、SkyTeamのFrequent Flyerの種類と条件に影響されますので、そちらについて先に説明します。
SkyTeamには2つのFrequent Flyerのレベルがあり、Elite Plusを獲得していないと自社および提携航空会社のラウンジは使えません。
SkyTeam Elite | ラウンジ利用不可 |
SkyTeam Elite Plus | ラウンジ利用可能 |
少しややこしいのが、同じSkyTeamに所属している航空会社でも、空港によって使えるラウンジが異なる場合がある点です。詳細な情報は、SkyTeam Lounges というページで検索できます。(各航空会社のページからは 条件が複雑すぎて欲しい情報にたどりつけないことがあります。特にデルタ航空の場合)
例えば、羽田空港 第3ターミナルを例に挙げます。
Lounge FinderでHNDと入力して検索すると、以下のような結果が表示されます。
Delta Sky Club | DELTA, KOREAN AIR, CHINA AIRLINES, Vietnam Airlines, CHINA EASTERN, ITA AIRWAYS |
JAL Sakura Lounge | AIRFRANCE, CHINA EASTERN |
Tiat Lounge | Garuda Indonesia |
この表をみると SkyTeamに所属している航空会社の羽田空港第3ターミナルのラウンジ利用に関して、以下のことがわかります。
- CHINA EASTERNは、Delta Sky ClubもJAL Sakura Loungeも利用できます。
- エールフランスは JAL Sakura Loungeを利用できますが、Delta Sky Clubは利用できません。
- Garuda Indonesia航空は、航空会社ラウンジは利用できず、一般のクレカでも入れる Tiat Loungeしか利用できません。
このように、「SkyTeamに所属している航空会社の上級会員資格や航空券を持っているなら、どこの国のどの航空会社のラウンジも使える」わけではないので注意が必要です。
自分の会員資格と航空券の種別で、行き先の空港でどの航空会社のラウンジを使えるか、事前に調べておく必要があります。
デルタ スカイクラブの利用条件
さて、次にデルタ航空のFrequent Flyerの制度についてです。
デルタ航空の航空券があれば、デルタ スカイクラブを利用できる可能性があるわけですが、必要条件となる、肝心なデルタ航空自体のFrequent Flyer制度について調べておく必要があります。
SkyTeamに所属する航空会社の航空券で、航空会社ラウンジを利用するための必要条件(注:十分条件ではない!)は、SkyTeam Elite Plus資格を獲得することでした。では、SkyTeam Elite Plus資格を取るために、デルタ航空ではどのような資格条件が必要になるのでしょうか?
デルタ航空には メダリオン会員という資格があり、4つのレベルがあります。
メダリオン資格レベル | 必要となるMQD (2025年向け) | SkyTeam Elite Plus資格 |
シルバー | 5,000 | No |
ゴールド | 10,000 | Yes |
プラチナ | 15,000 | Yes |
ダイヤモンド | 28,000 | Yes |
このうち、ラウンジを利用できる可能性があるSkyTeam Elite Plusの資格を取るには、デルタ航空では、「ゴールド メダリオン」以上の資格を持っている必要があります。
メダリオン資格の獲得には、デルタ航空独自の制度 “MQD“というものを貯める必要があります。
このMDQという仕組みは、マイレージ数で資格レベルが決まる他の航空会社と異なり、デルタ航空のFrequent Flyer制度をわかりにくくしている元凶です。(以前はこれに加えてMQMというポイントもあり、さらにわかりにくかったようです)
MQDは、デルタ航空に直接支払われた金額に換算されたポイントです。通常、デルタ航空のサイトで購入された航空券やレンタカー・ホテル予約などで獲得することができます。
このMQDは、格安航空券会社から購入されたベーシック・エコノミー航空券(Class E)では獲得することができません。MQDの獲得には、エコノミークラス以上のランクの航空券が必要です。
デルタ航空の航空券の種類と識別記号については、こちらのサイトに詳細が書かれています。
ゴールド メダリオン獲得におすすめのクレカは?
デルタ航空の「ゴールド メダリオン」資格を獲得するための王道は、もちろんデルタ航空をたくさん利用し、MQDを貯めることです。しかし、海外旅行をする以外に、日本国内で利用する機会がないデルタ航空では、なかなかMQDを獲得できません。
その場合は陸マイラーとして、デルタ航空の提携クレジットカードを利用し、カード利用でMQDを獲得する方法があります。
日本国内で発行可能な、デルタ航空の提携クレジットカードに関する情報は、スカイマイルデルタ航空のサイトからは、少々たどりにくくなっています。トップナビからは、米国発行のクレジットカードのページにリンクされていて、国際クレジットカードのページがわかりにくいのです。
まず、トップナビから、「スカイマイル」ー>「スカイマイル提携クレジットカード」に行き、
その後、「スカイマイルのご紹介」のプルダウンメニューから、「国際クレジットカード」を選択すると、日本で発行できる提携クレジットカードが表示されます。
2024年10月現在、以下の8種類の提携カードが申込み可能となっています。年会費に関しては、一部のカードでは、初年度実質半額(キャッシュバック)キャンペーンをやっているようです。
提携カード | 年会費 |
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード | 28,600円 (税込) |
アメリカン・エクスプレス・カード | 13,200円 (税込) |
ダイナースクラブカード | 30,800円(税込) |
JCBゴールドカード | 22,000円(税込) |
JCBカード | 13,200円(税込) |
テイクオフ JCBカード | 2,750円(税込) |
TRUST CLUB プラチナ VISAカード | 44,000円(税込) |
TRUST CLUB ゴールド VISAカード | 19,800円(税込) |
これらのうち、カード入会直後からラウンジが利用できるのは以下の4つのカードです。その他のカードは、地道にMQDを1年間貯めなければならず、ラウンジ利用は1年以上先になってしまいます。
提携カード | ラウンジ利用制限 |
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード | 初年度1年間は制限なし(カード入会から1年間、ゴールドメダリオン資格が付与されるため) |
ダイナースクラブカード | 1暦年ごとに3回または3名様 |
TRUST CLUB プラチナ VISAカード | 1暦年ごとに6回または6名様 |
TRUST CLUB ゴールド VISAカード | 1暦年ごとに3回または3名様 |
これらのカードのうち、アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード だけは、特別なメリットがあります。入会した初年度だけですが、いきなり「ゴールドメダリオン」の資格が付与されるのです。他のカードではラウンジ利用に、3回、もしくは6回という回数制限がありますが、「ゴールド メダリオン」会員には、ラウンジの利用回数制限はありません。
したがって、入会初年度に限って言えば、初年度から「ゴールド メダリオン」の資格が獲得でき、ラウンジが自由に使える「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」は、デルタ航空やSkyTeamのフライトと空港で過ごす時間を快適にしたい人にはおすすめのカードなのです。
次年度以降もメリットあり!
初年度は、「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」の特例で、ゴールドメダリオン資格を得ることができますが、翌年以降のゴールドメダリオン資格獲得についてはどうでしょうか?
デルタ航空のメダリオン会員資格のページによると、ゴールドメダリオン資格維持に必要なMQDは、10,000 MQDです。
どのクレジットカードでも メダリオン更新時に2,500MQDが付与されます。その他に、1,000円のカード利用ごとに 1 MQDが獲得できます。これに関しては、提携カードの間で差はありません。
更新時の2,500 MQDを除くと、ゴールドメダリオン資格獲得には、残り7,500 MQD ( = 10,000 – 2,500)を獲得する必要があります。カード利用だけで7,500 MQDを獲得しようとすると、 1,000円 x 7,500 MQD = 750万円。なんと年間750万円のカード利用が必要となります。これは一般人にはなかなかハードルが高いでしょう。
しかし、デルタ航空提携のアメリカン・エクスプレス・ゴールド・カードだけは、このハードルが一気に下がり、ゴールドメダリオン資格が獲得しやすくなっています。
詳細は、入会後にアメリカン・エキスプレスから届くメダリオン資格 案内ページに書かれていますが、年間のカード利用金額 150万円以上でゴールドメダリオン、100万円以上でシルバーメダリオン資格が取得できます。
「デルタ スカイマイル アメリカン・エクスプレス・ゴールド・カード」は、年間のカード利用額 150万円以上で「ゴールド メダリオン」を獲得できる。 |
これならば、一般庶民でも手の届く条件に思えます。アメックスから受けられるその他のメリットを考慮すると、年会費28,600円 (税込)も割安に思えるのではないでしょうか?