花粉の時期に注目を集める空気清浄機。本記事では、空気清浄機の基本である「空気清浄能力」だけに着目し、各メーカーの比較とおすすめ機種について紹介します。2回目の今回はダイキンの空気清浄機です。
最新の空気清浄機についている様々な機能
最近の空気清浄機には、「空気清浄機能」以外にさまざまな付加機能がついています。多くの機種についているのが、加湿機能です。空気中の湿度を調節するための機能で、乾燥した室内空気を快適に保ちます。加湿することで、乾燥による肌の乾燥やのどの渇き、アレルギー症状の軽減にも効果があります。
その他にも以下のような機能がついている機種があります。
- 自動運転機能:センサーによって室内の空気汚染レベルを自動的に検知し、適切な清浄モードを選択する機能です。状況に合わせて最適な空気清浄が行われるため、手動操作が不要なため便利です。
- WiFi機能:スマートフォンやタブレットから空気清浄機を操作することができる機能で、外出中でも遠隔操作が可能です。また、空気質の履歴や消耗品交換時期などを通知する機能もあります。
- スリープタイマー機能:就寝前に設定しておくことで、一定時間が経過すると自動的に停止する機能です。就寝時には、静かで省エネな運転が可能で、快適な眠りをサポートします。
しかし、空気清浄機に期待するのは、「空気清浄能力」です。
先の記事「空気清浄機は花粉対策にならない?空気清浄機に対するよくある誤解と正しい使い方」でも書きましたが、現在の空気清浄機の空気清浄能力は、以下の3つの機能で構成されています。
本記事では、これらの本質的な機能に注目して、メーカー別、機種別比較とおすすめ機種について調べていきます。
空気清浄機の主要メーカー
本紹介記事シリーズで紹介するメーカーは以下の5社です。
シャープ | ファン式のシンプルな構造で入手しやすい価格帯で複数機種を展開しています。「プラズマクラスター」と呼ばれるイオン発生機で除菌機能を提供しています。 |
パナソニック | 気流を3方向に分散させて室内の空気を循環させ、重い花粉をしっかり吸い込む「3Dフリー花粉撃退気流」をウリにしている。除菌には、イオン発生機である「ナノイー」を利用 |
ダイキン | TAFUフィルターとよばれる静電HEPAフィルターを採用。プラズマ放電で有害物質を分解するダイキン独自技術「ストリーマ」を装備。 |
ダイソン | 夏場は涼しい風を送るファンと空気清浄機能がセットになったPurifierを提供。 |
ブルーエア | 「HEPASilentテクノロジー」と呼ばれる独自技術で0.1μmまでの有害物質を帯電吸着除去する高性能をウリにしている |
その他にも、バルミューダ、アイリスオーヤマ、エアドッグ、シャオミなどからも販売されていますが、この記事では、「集塵」「脱臭」「除菌」という本質的な「空気清浄能力」において技術的な特徴のあり、かつ情報を開示しているメーカーのみ紹介していきます。
比較は空気清浄能力を構成する以下の3つの機能を中心に、使い勝手についても触れていきます。
集塵機能 | 花粉だけでなく、繊維状粒子やPM2.5を含む一般粉じんを除去する機能です。 |
脱臭技術 | タバコ臭、ペット臭、生ゴミ臭などのニオイを取り除く技術です。 |
除菌技術 | 室内空間、もしくは空気清浄機内で細菌やウィルスを非活性化する技術です。 |
機種比較 2回目の本記事は、「ダイキン」の空気清浄機について解説します。
第1回:シャープの空気清浄機
ダイキンの空気清浄機の機種と特徴
エアコンや業務用空調機器で定評のあるダイキンですが、空気清浄機においては「ストリーマ」と「アクティブプラズマイオン」というダブル方式で空気清浄を行っています。
「ストリーマ」とは、ダイキン独自の空気浄化技術です。「ストリーマ放電」は「プラズマ放電」の一種で、酸化分解力の高い「高速電子」を発生させ、有害タンパク質を分解します。
ストリーマが高速電子を放出 | |
高速電子が空気中の窒素や酸素と衝突・合体し、分解力を持つ4種の分解素を生成 | |
強い酸化分解力をもつ高速電子が有害タンパク質を分解 |
ストリーマ技術によって、ダイキンの空気清浄機は、他社の空気清浄機よりもホルムアルデヒドなどの化学物質、ウィルスなどに対する除去効果が高いと言われています。
このストリーマは、脱臭フィルターに吸着したニオイも分解できるため、フィルターの吸着機能が再生し、脱臭能力が持続します。そのため脱臭フィルターの交換が不要です。
「アクティブプラズマイオン」とは、イオンを生成し、空気中に放出することで、空気清浄機の外でタンパク質を酸化分解することができる技術です。
(出典:ダイキン)
「アクティブプラズマイオン」のようにイオンを放出して空気中で有害物質を分解する仕組みは、シャープの「プラズマクラスター」やパナソニックの「ナノイー」と同じような技術と思われます。
ただし、「アクティブプラズマイオン」はネット上に情報が少なく、「プラズマクラスター」や「ナノイー」技術と比べて優れているのかどうか比較ができません。
ダイキンの空気清浄機は、空気を取り込んで機内で分解する「ストリーマ」がメインで、「アクティブプラズマイオン」は補助的な機能なのかもしれません。
集塵機能については、他社が採用しているHEPAフィルターよりも集塵能力が高い、TAFUフィルター(静電HEPAフィルター)を採用しています。
ダイキン空気清浄機の空気清浄技術
集塵機能 | TAFUフィルター方式 |
脱臭技術 | 活性炭フィルター+ストリーマ(機内) アクティブプラズマイオン(室内空間) |
除菌技術 | ストリーマ |
ダイキン空気清浄機 MC55Zの内部構造
1 | アクティブプラズマイオン 発生ユニット | イオンを発生し、空間除菌をします(交換不要) |
2 | 脱臭フィルター | ニオイを吸着します(交換不要) |
3 | TAFUフィルター | プレフィルターでキャッチできない微細粒子を取り除きます。(10年交換不要) |
4 | ストリーマユニット | 高速電子を発生し、有害タンパク質を分解します |
5 | プレフィルター | 大きなホコリをキャッチします |
ダイキンの最新空気清浄機
ダイキンのホームページ(サイト)によると、2023/3/12現在、以下の5機種が展開されています。
製品型番 | |
加湿空気清浄機 | MCK70Z, MCK55Z, MCK50Y |
除湿加湿空気清浄機 | MCZ70Z |
空気清浄機 | MC55Z |
お買い得な機種は?
ダイキンの空気清浄機については、以下の2機種が人気です。
3年以上前に発売された機種も含まれていますが、本質的な「空気清浄能力」においては最新機種とほぼ変わらないため、現在も多くの人に購入されていると思われます。
型番 | ACK70X | MC55Z |
加湿機能 | あり | なし |
最大適用床面積 | 31畳 | 25畳 |
集塵機能 | TAFUフィルター | TAFUフィルター |
脱臭機能 | 脱臭フィルター、ストリーマ | 脱臭フィルター、ストリーマ |
除菌機能 | ストリーマ アクテイブプラズマイオン |
ストリーマ アクテイブプラズマイオン |
サイズ | 600x395x287mm | 500x270x270mm |
重量 | 12.5kg | 6.8kg |
発売 | 2020年12月 | 2022年10月 |
価格 |
ACK70Xは、3年以上前の旧機種ですが、「TAFUフィルター」「ストリーマ」「アクティブプラズマイオン」といった、ダイキンが誇る空気清浄機能をしっかりと備えており、加湿機能もあるため、根強い人気があります。
MC55Zは、加湿機能がない純粋な空気清浄機です。最大適用床面積は 25畳と ACK70Xよりは狭いですが、広めのリビングで利用しても十分な性能があります。この新しい機種では、空気清浄機能を強化しつつ、サイズと重量の小型化が図られています。
他のメーカーについても、以下の記事で紹介しています。
シャープの空気清浄機 空気清浄能力だけに注目した機種別比較とおすすめ機種は?