携帯電話会社の乗り換えや新規契約を行う場合、スマホ端末の購入割引プログラムが提供されている場合があります。こうしたプログラムは本当に”得”なのでしょうか?iPhone 15をUQmobileが提供する「スマホトクするプログラム」で入手した場合を例に検証してみます。
2021年9月24日に発売された iPhone 13。実際に購入した日は 2021年11月22日でしたが、さすがに3年以上が経過し、新しい機種が欲しくなりました。iPhone13 256GBモデルで当時の価格は 98,800円でした。
ちまたでは、本日2/28からiPhone 16eが発売開始されました。iPhoneSEの第4世代という位置づけですが、iPhoneSE第3世代に比べて価格がかなり高くなりました。
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2022年3月に発売されたiPhone SE第3世代は、SIMフリーモデルで 256GBで76,800円でしたが、(出典: ケータイWatch) iPhoneSE第4世代に位置づけられるiPhone16eは、256GBで114,800円。38,000円もの価格差があります。
ちなみに今回欲しいのは、512GBのモデルです。写真容量が増えて現在の256GBでは足りなくなったためです。
比較の対象となるのは、iPhone 16eを含む、直近の3機種。それぞれの特徴・違いは以下の通りです。
項目 | iPhone 15 | iPhone 16 | iPhone 16e |
容量 | 512GB | 512GB | 512GB |
価格 | 157,800円 | 169,800円 | 144,800円 |
チップ | A16 | A18 | A18 |
Apple Intelligence対応 | No | Yes | Yes |
ボタン | 着信/消音スイッチ | アクションボタン | アクションボタン |
光学ズーム | 0.5x/1x/2x | 0.5x/1x/2x | 1x/2x |
MagSafeワイヤレス充電 | 15W MagSafe | 25W MagSafe | 7.5W Qi |
同じ512GBの場合、価格は iPhone 16eが一番安いですが、光学ズームに 0.5xがないのと、MagSafeワイヤレス充電が7.5W Qiだけなのが気になります。
次に価格が安いのはiPhone 15ですが、チップが A16であること、Apple Intelligenceに対応していない点が気になります。
一番良いのは iPhone 16ですが、iPhone 16eに比べると 25,000円も高くなっています。
iPhone 13の下取り価格は?
予算的にどの機種を買えるかは、現行機種をどのくらいで下取りしてもらえるかにも依存します。
Appleで機種を購入する場合の下取りプログラムでは、機種が正常な場合、iPhone 13 256GBの下取り額は39,000円と出ました。
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一方、にこスマのような買い取りサイトでは、Aグレードの機種の買取り額は 48,000円とでました。
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にこスマの定義によるとAグレードとは、「ネットワーク利用制限がない」「画面が割れていない」「機能不良がない」状態のものだそうです。
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そのため、Appleの下取り基準をクリアしていれば、にこスマでAグレードとなりそうです。
どのキャリア、格安スマホでも仕組みは同じなので、具体的に UQmobileの例で検証してみます。
iPhone 15 512GBを新規購入、他社からUQmobileにMNP乗り換え する場合について調べます。
さて、上記サイトで条件を入力して調べてみると、iPhone 15 512GBの端末代金は 206,930円と出ます。この金額はAppleから正規購入する場合よりも、49,000円も高くなっています。
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さて、下の方を読み進めていくと、UQmobileの主張する”オトクな”内容が書かれています。
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このプログラムは、通信料金プラン「コミコミプラン+」と「増量オプションII」に加入する と月々 4,695円を払い続けるだけで、22ヶ月間 スマホ端末が使えるというものです。
このプランで注意しなければならないのは、
- この金額(4,695円)には、携帯電話の通信料金は含まれていない
- スマホ端末を23ヶ月目に返却しなければならない(スマホ端末はUQmobileから借りているだけで自分のものにはならない)
という点です。実際に発生する費用(本来比較しなければならない金額)は 「約2年間に端末代金として払う金額」と「約2年間の通信・通話料金」の合計金額です。
それらを加味して、総額を比較してみましょう。
どちらがお得?端末購入とスマホ端末割引プログラム
iPhone15を Appleから直接購入する場合と、UQmobileの「スマホトクするプログラム」で入手する場合を比較してみます。購入するスマホ端末は iPhone 15 512 GBです。「iPhoneを22ヶ月間使い続けるための費用」と「22ヶ月間にかかる通信料金」の合計を比較します。
Appleから直接購入する場合に利用するスマホ料金プランは、povo 2.0 の30日間 20GBトッピング(税込 2,700円)とします。povo 2.0とUQmobileは、ともにauが提供している格安スマホプランで、同じauの通信回線を利用しているので、通信品質が同等と考えられるからです。
スマホ端末料金
まず、iPhone 15 512GBを入手して22ヶ月間利用するのにかかる費用を、Appleから直接購入する場合と、UQmobileの「スマホトクするプログラム」で入手する場合で比較します。
Appleから購入 | UQmobileで入手 | |
月額支払 | N/A | 4,695円 |
22ヶ月の支払い総額 | 157,800円 | 103,290円 |
23ヶ月以降の下取り額 | 76,000円(推定) | N/A |
22ヶ月間の実質支払額 | 81,800円 | 103,290円 |
UQmobileの場合は、月々 4,695円を払ってスマホをレンタルするようなイメージです。先に触れたように、23ヶ月後までにスマホを返却しなければならないため、手元にはなにも残りません。「スマホのレンタル料金を 22ヶ月で 合計103,290円払う」というのが正しい表現です。
一方、Appleから購入する場合は、iPhoneは完全に自分のものになります。23ヶ月後も自分のものなので下取りに出して 次のスマホ端末を購入する費用に充てることができます。
買い取り費用はあくまで iPhone 13の場合からの推定金額ですが、約半額です。
iPhone 13 256GB | iPhone 15 512GB | |
購入価格 | 98,800円 | 157,800円 |
買取価格 | 48,000円(にこスマ) | 76,000円以上(推定) |
2021年9月に発売されたiPhone 13が、3年以上経った今でも、購入時の約半分の価格で買い取られていることを考えると、iPhone 15を2年後に下取りを出したときには、半額の76,000円以上で買い取りされるのではないかと推定されます。
これらを考慮すると、Appleから購入した場合の22ヶ月間の実質負担額は 購入価格から22ヶ月後の買取価格を差し引いた 157,800円- 76,000円 = 81,800円程度なのではないかと考えられるのです。
通信料金
次に通信料金を比較します。UQmobileで「スマホトクするプログラム」を適用してiPhoneを入手するには、通信料金プラン「コミコミプラン+」と「増量オプションII」に加入することが必要です。これらの通信料金を22ヶ月間払う場合の総額を計算してみます。
サービス名 | 月額 | 課金月数 | 支払い総額 | 備考 |
コミコミプラン+ | 3278円 | 22ヶ月 | 72,116円 | 33GBまで増量 |
増量オプションII | 550円 | 15ヶ月 | 8,250円 | 最初の7ヶ月間無料 |
合計 | 80,366円 |
「コミコミプラン+」は、月間データ容量 30GBに +10%増量するものです。月間20GBで済んでいる人には余分なサービスとなります。「増量オプションII」は「コミコミプラン+」に申し込んでいる人が追加すると、5GB/550円で容量追加できるというものです。「月間30GBでも多すぎるのに・・・」という人には、まったく無駄なオプションになります。22ヶ月間の支払い総額は、80,366円になります。
次に、AppleからiPhoneを直接購入する場合です。povo 2.0の 30日間 20GBのトッピングを22ヶ月間使い続けた場合の総額は、2,700円 x 22ヶ月 = 59,400円です。
以上の情報をまとめると、povo 2.0と UQmobileの場合の通信料金の比較は以下のようになります。
通信料金 | povo 2.0 | UQmobile |
22ヶ月間の総額 | 59,400円 | 80,366円 |
結論:Appleから購入したほうが断然お得
さて、以上の情報から、iPhoneを入手するための実質負担額と、通信料金の合計を比較してみると以下のようになります。
povo 2.0 + Appleから購入 | UQmobileの「スマホトクするプログラム」 | |
22ヶ月間 iPhone 15 512GBを利用するための実質負担額 | 81,800 | 103,290 |
22ヶ月間 通信料金 | 59,400 | 80,366 |
合計金額 | 141,200 | 183,656 |
iPhoneをAppleから購入した場合には、携帯電話会社が提供するスマホ端末割引プログラムと比べ、スマホ端末が自分のものになり、機種変更したいときに下取りに出せる点が 実質負担金額が大きく異なる理由です。
また、携帯電話会社が提供するスマホ端末割引プログラムは、月額容量が大きく、高額な料金プランを契約することが前提となっている場合が多いため、毎月20GB以下で足りている人にとっては、余分な費用を負担させられることとなります。
iPhone 15 512GBの例で、UQmobileの「スマホトクするプログラム」と比較した場合は、Appleから購入した場合のほうが、22ヶ月の維持費用が実に 40,000円以上も安くなりました。
他のキャリア、格安スマホが提供しているプランでは、もう少し差が縮まるかもしれません。また初期費用に15万円も用意できないという人には、、毎月 4,000円強の支払いで iPhoneが使えるのは魅力的に見えることでしょう。この手の割引プログラムは、iPhoneの購入というよりは、レンタルと考えたほうがよさそうです。