毎年9月になるとiPhoneの新機種の発売時期になります。 このタイミングで 機種変更を考える人は多いとおもいますが、中には、この機会に格安SIMに乗り換えたいと考える人もいることでしょう。後悔しない格安SIMへの乗り換え方法について最新情報をまとめてみました。
格安SIMへの乗り換え:5つの前提条件
自分の使い方に合った格安SIMに乗り換え、後悔しないようにするためにはいくつかの条件があります。 制約条件がある状態では、自由に格安SIMが選べないからです。格安SIMへ乗り換えが楽になる最低限必要な5つの条件について解説します。
契約期間の制約がないこと
まず1つ目は、契約期間の縛りがないことです。
総務省の指導もあり最近は少なくなりましたが、以前は 2年契約、3年契約を前提として 端末料金を割り引くという手口がよくありました。長期契約を前提に、スマホ端末代金や月額料金が割引かれている場合、 その契約を途中で解約するとかなり高額なキャンセル料が発生します。家族割、光回線セット割引、電気ガスセット割引なども長期契約を前提とする場合が多いため注意が必要です。
せっかく格安SIMに変えて、月額料金を安くしても、高額なキャンセル料が発生するようでは、乗り換えによるメリットが薄らいでしまいます。こうした縛りがないことが格安SIMに自由に移行するためには大事なことの1つです。
フリーメールアドレスを持っていること
2つ目は、キャリアメールへの依存をやめることです。
キャリアメールをいまだに使っている人もいると思いますが、 キャリアメールを維持したまま格安SIMに乗り換えるのは、かなり制約があります。 移行先の格安SIMでキャリアメールをサポートしている場合もありますが、基本的には有料です。ここで追加料金が発生してしまうと、格安SIMに乗り換えるメリットが薄まります。そのため、gmailやyahooメールなどのフリーメールに乗り換えるか、キャリアメールメールを使えなくても困らない状態にしておくことが重要です。
毎月の データ使用量、ギガ数を把握していること
3つ目は、データ使用量を把握することです。
スマホ月額料金を下げる上で、毎月のデータ使用量を 把握することはとても重要です。 どの格安SIMが適しているかは、 毎月のデータ使用量が 3GB以下か、10GB以下か、20GB以下で 全く変わってきます。データ使用量が少ないときに何GBで、最も多いときで何GBなのか、過去半年くらいの傾向がわかると、自分の利用形態に合い、かつ月額料金が最低になる格安SIMを選ぶのが楽になります。
自分でネットで契約ができること
4つ目は、ネットでの契約です。
格安SIMは 低価格を実現するため、 人的コストがかかる対面店舗での契約をせず、 ネットで契約を完結させるケースが多い傾向にあります。 ユーザーにとってメリットの大きい格安SIMほど、この傾向が強くなります。良い条件の格安SIMを契約するには、身分証明書や決済用のクレジットカードを用意して、ネット上で自分で手続きできることが必要です。
SIMカードの差し替え、初期設定が自分でできること
5つ目は、スマホ端末における初期設定です。
格安SIMの契約がネットで完了すると、 SIMカードの場合は数日後に郵送されてきます。開封し、SIMカードを差し替え、機種によってはAPN設定が必要になります。またeSIMの場合は、自分でeSIMをダウンロードして設定する必要があります。 対面店舗での契約できない場合はこれらの作業はすべて自分でやることになります。
格安SIMへの乗り換え:妥協したくない5つのこだわり条件
さてこれら5つの条件をクリアできた場合、格安SIMへの乗り換えのスタートラインに立てることになります。
格安SIMへの乗り換えで、私たちが期待するものはなんでしょうか?
「高い料金を払って、なんでも提供してもらえる状態」から
「自分に必要なサービスだけを利用し、それに見合った料金を払う状態」に変えることです。
格安SIMに乗り換えたからといって、なにかを我慢することはできるだけしたくありません。
格安SIMに乗り換えたあとでも、こだわりたいポイントは以下の5つです。
- データ使用量に応じた料金体系にしたい
- 通信品質はある程度確保したい
- 通信障害が起きても携帯が使い続けられるようにしたい
- NTTドコモ回線は 持っておきたい
- 機種変更をする時に余分なお金がかからないようにしたい
データ使用量に応じた料金体系にしたい
1つ目は、自分にあった料金体系の実現です。
毎月 20GB近く使用している人なら 気にしないかもしれませんが、 少ないデータ容量しか使わない人にとってはそれに見合った 月額料金にしたいと考えるのは自然なことです。 その料金体系は データ使用量に応じて 段階的に増えていく 料金体系であればなお理想的です。たとえば、
- ある格安SIMが20GBで月額3000円 なのであれば 、10GB以下ならその半額の1500円以下にしたい。
- 3GBで月額1,000円、10GBで月額2,000円なのであれば、6GBのときは、1,500 円前後にしてほしい。
といった要望です。
一般的な格安SIMでは、あまり複雑な料金体系にせず、3GBまで◯◯円、20GBまで◯◯円といったシンプルな料金体系にしたり、料金プランも2つか3つしかないことがよくあります。
データ使用量に応じて段階的に料金があがるプランをもっている格安SIMもありますが、その一方で通信品質が期待にそぐわないこともよくあります。そのため、価格だけで格安SIMを選ばないように注意が必要です。
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通信品質はある程度維持したい
2つ目は、通信品質です。
「格安SIM」と聞くと、「つながりにくい」「通信速度が遅い」というイメージをもっている人は多いと思いますが、すべての格安SIMがそういうわけではありません。通信品質のよい格安SIMもあります。
また、スマホを快適に利用できる通信速度は、スマホで何をするかで変わります。
スマホで何をするかは個人差が大きいため、スマホを快適に利用できる通信速度も個人差が大きいのです。
とある記事によると作業内容ごとの通信速度の目安は以下のようになっています。
LINEやメール | 下り速度 1Mbps |
Webサイト閲覧 | 下り速度 3~6Mbps |
動画視聴(HD 1080p) | 下り速度 5Mbps |
オンラインゲーム(リアル対戦) | 50 Mbps以上 |
出典:快適なスマホ回線速度の目安とは?測定法や遅いときの対処法を解説
格安SIMにおいては、一般的に「通信速度」と「月額料金」は反比例する場合が多く、よく注意して選ばないと
「料金が安くなると通信速度が遅くなる」
「通信速度が速くなると料金が高くなる」
という事態になりがちです。
格安SIMにしたからといって、通信速度が遅すぎて動画が見れなかったり、 昼や夕方の混雑時間帯に通信が繋がらなくてスマホ決済ができないなどの事態は避けたいものです。
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通信障害が起きても使い続けられるようにしたい
3つ目は、通信障害への対応です。具体的には、デュアルSIM機能をつかって、複数のキャリア回線を用意することで実現できます。
大規模通信障害というのは、どのキャリア回線を選んでも何年かに一度は発生するようです。
以下は過去5年間に発生した、キャリアの大規模通信障害です。
発生日 | キャリア回線 | 地域 | 報告書 |
2022年12月17日、20日 | docomo | 西日本 | 詳細 |
2022年7月2日 | au | 全国 | 詳細 |
2021年10月14,15日 | docomo | 全国 | 詳細 |
2018年12月6日 | SoftBank | 全国 | 詳細 |
こうした大規模障害に対しては、ユーザー側では対処することができません。障害復旧をひたすら待つのみとなります。(デュアルSIMにせず、回線を1本しか持っていない場合)
昔と違って問題となるのは、現在の私たちの生活が、スマホなしでは成立しえなくなっていることです。配送業者は、スマホのデータ通信なしでは、配達先や配送指示も受けられなくなっています。個人でもQRコード決済を利用している人はデータ通信ができないと決済ができません。データ通信ができないと、Suicaなどの非接触型ICカード決済を利用している人もチャージができなくなってしまいます。
あるキャリアで大規模通信障害が起きたときでも、データ通信をし続けるには、普段から別のキャリアのバックアップ回線をもっておく必要があります。普通に回線を2本契約すると、月額料金が2倍になってしまいます。この副回線の選び方にもコツがあります。
NTTドコモ回線は 持っておきたい
4つ目は、通信品質が高い主回線の確保です。具体的にはNTTドコモ回線を利用した格安SIMとなります。
「NTTドコモ回線はつながりやすい」 というのは十年以上前の都市伝説かと思っていましたが そうでもないようです。 電波が繋がりにくい山岳地帯や 海上の沖合いでは、依然NTTドコモが強いようです。 こうした場所に出かけることがある人は ドコモ回線を持っておきたいところです。
以下の記事では、3つのキャリア回線で本州近海でデータ通信がどのくらいできるのか調べています。
オーシャン東九フェリーでWi-Fi通信はつながるのか?海上通信したいときの格安SIMのおすすめは
機種変更をする時に余分なお金がかからないようにしたい
5つ目が、契約時に発生する諸費用です。
意外と見落としがちなのが 機種変更の時のコストです。 自分の スマホの使いかたに合った格安シムを選ぶときに、 1種類の格安SIMで条件を満たせない場合には 異なる 格安SIMを 二枚組み合わせデュアルSIM が必要になる場合があります。
Android端末は SIMカードスロットが 二つある場合が多いのであまり問題にはなりません。しかし、 iPhoneの場合には、SIMカードスロットは一枚のみのため、デュアルSIMにしたい場合には、2枚目のSIMはeSIMにする必要があります。
このeSIMというものが意外と厄介で、 機種変更をするときには新たに発行し直さなければなりません。 このeSIMの再発行で 手数料を取る格安SIM会社もあるため注意が必要です。
参考記事)意外と見落としがちな格安SIMの初期費用|無料にする裏技は?
実際の格安SIMの選び方
格安SIMへの乗り換えで、よく話題になる「安かろう悪かろう」 の状態になって後悔しないようにするには、それなりの注意と工夫が必要です。
さて、先に挙げた5つの条件をクリアし、5つの要望を満たす格安SIMを選ぶには、どのようにしたらよいのでしょうか?格安SIMは何十種類もあり、比較して選ぶだけで疲れてしまいます。
結論からいうと、以下の2ステップです。
- メインとなる格安SIMを決める
- それとは別のキャリア回線を使用した格安SIMで先の格安SIMの弱点を補う
毎月のデータ使用量ごとにおすすめの組み合わせ例は以下になります。
月間データ使用量 | 主回線 | 副回線 |
3GB以下 | 日本通信SIM | povo 2.0 |
3GB以上 10GB未満 | 日本通信SIM | LINEMO, povo 2.0など |
10GB以上 20GB未満 | ahamo | povo 2.0 |
この組み合わせはあくまで一例で、絶対ではありません。住んでいる地域や スマホの利用の仕方によっては、他の組み合わせが適している場合もあります。
格安SIMの比較記事をいくつか読み比べてみて、自分に合いそうな格安SIMを選ぶのも一つの方法です。
参考記事)本当に使える格安SIMはどれ?人気・注目の9社を実際に使ってみた結果は?
「これはいいな」と思える格安SIMが見つかった場合でも、一度試して使ってみることをおすすめします。ネットに書かれている情報だけでは、格安SIMの使い勝手はわからないからです。ある地域のユーザーにとって評価が低くても、別のユーザーにとっては快適ということもありえます。
副回線としておすすめしている 「povo 2.0」と「LINEMO」については、こちらに利用体験記事を書きましたので参考にしてください。
徹底検証 LINEMO LINEギガフリーのSoftBank回線格安SIM|その実力は?
徹底検証 povo 2.0 月額0円からの格安SIMは副回線最有力候補|その実力は?
2023年6月までは、OCNモバイルONEが、料金体系においても、通信品質においても、格安SIMの中ではダントツの優秀さでした。しかし、NTTドコモによるOCNの買収・統合、料金体系の一本化によって、OCNモバイルONEは、2023年6月末をもって新規受付を停止しました。
その代わりとして、同じNTTドコモ回線をもつ「日本通信SIM」を選択肢としてあげています。
OCNモバイルONE終了!「irumo」「eximo」を選びたくない人への格安SIMのおすすめは?