オーシャン東九フェリーでWi-Fi通信はつながるのか?海上通信したいときの格安SIMのおすすめは

後悔しない格安SIM
格安SIMのつながりやすさは、利用しているキャリア回線に依存します。携帯キャリアごとのデータ通信のつながりやすさを、フェリーに乗ったときの海上通信で比較してみました。
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格安SIMの”つながりやすさ”|街中と海上では意味が異なる

格安SIMを選ぶときによく話題になるのは「つながりやすさ」と「通信速度」です。街中での「つながりやすさ」というのは、電波が届くかどうかよりも、ある場所でその格安SIMに割当てられている通信容量をどれだけ多くの人が利用するか、つまり「一人あたりの通信容量」に依存します。
例えば、東京のある地点で、ある格安SIMの通信容量が 100M bpsあったときに、その場所で1,000人が同時にスマホを利用すると、一人あたりの通信容量は、100 Mbps / 1,000 人= 0.1 Mbpsとなってしまいます。
Webサイトがなんとか閲覧できるのが1Mbps以上と言われていますので、この状態では、電波が届いてつながってはいるものの、事実上利用はできません。
さて、海上でのつながりやすさはどうでしょうか?
海上での格安SIMのつながりやすさは、純粋に携帯キャリアの基地局とスマホの間で電波が届くかどうかにかかっています。
海の真ん中に基地局を置くわけにはいきません。陸地にある基地局から沖合に電波が届く距離は限られています。近くの島に基地局がない限り、基本的には沖合でスマホのデータ通信を利用することはできません。
フェリー搭乗体験を書いたブログには、「洋上ではほとんど通信はつながらない」と書いている記事もあります。実際のところはどうなのでしょうか?
携帯キャリアごとの海上でのつながりやすさを、東京から徳島まで航海している「オーシャン東九フェリー」で試してみました。

オーシャン東九フェリー

今回利用したのは、オーシャン東九フェリー。東京から徳島経由で北九州まで運行しています。
オーシャン東九フェリーの航路

「フェリーびざん」で東京から徳島まで628kmを約18時間かけて旅しました。
船内に掲示してある運行基準図によると、東京発 徳島行きの主な地点の通過時間は以下の通りです。
運行基準図
東京
伊豆大島
神子元島
見江島
潮岬
徳島
19:30
23:05
0:37
6:23
9:13
13:05
携帯電話の電波については、「よくある質問」コーナーに以下のような記述があります。

「携帯の機種はキャリアにもよりますが、沖合に出ると電波はつながりません。」となっています。
実際のところはどうなのでしょうか?キャリアごとのエリアマップと比較して調べてみました。

試したのは三大キャリア回線

さて、今回 スマホ4機種、携帯キャリア(格安SIM)5回線、三大キャリア回線で試すことになりました。自分のスマホだけでなく、旅行に同行した連れの所有しているスマホも使って試しています。
携帯会社/格安SIM会社
キャリア回線
スマホ機種
HISモバイル
NTTドコモ
OPPO Reno 7
mineo
SoftBank
OPPO Reno 7
povo 2.0
au
iPhoneSE 第2世代
SoftBank
SoftBank
iPhone 8 Plus
ahamo
NTTドコモ
Galaxy

電波の送受信性能は、使っているスマホの機種によっても若干違いがありますが、海上ではそもそも電波が届くかどうかが最も重要なポイントです。

実は、陸地から海上まで電波の届く範囲は、キャリア回線(NTTドコモ,au,SoftBank)によってかなり異なります。
そのため、海上での格安SIMのつながりやすさは、おおむね利用しているキャリア回線に依存します。
結論から先にお話しすると、3大キャリアの中では、NTTドコモ回線を利用している格安SIMがつながる時間帯が最も長くなりました。
実際にどのくらいつながるのかは、各キャリアが公開している通信エリアマップと比較しながら見てみます。

携帯キャリアごとの通信エリアマップと航路

今回、異なるキャリア回線を複数のスマホ端末で試すことになりましたが、航行時間中寝ずにテストしたわけではありません。「夜出港してから寝るまで」と、「朝起きてから到着するまで」、スマホのアンテナの立ち具合をみながら、通信できるか試しています。以下、各キャリアの通信可能状況です。

NTTドコモ

NTTドコモの通信エリアマップは、以下のサイトで調べられます。
沿岸の薄い水色の部分が海上での通信可能なエリアとなります。NTTドコモは、沿岸から沖合20-30kmまで携帯電話の通信が可能なようです。
NTTドコモの通信可能エリア
NTTドコモの通信エリアマップに、オーシャン東九フェリーの運行基準図を重ね合わせると以下のようになります。
この図を見る限り、0:37に神子元島を過ぎたあたりから、翌朝9:13に和歌山県沖の潮岬付近を通過するまでは、NTTドコモの通信エリアから外れています。しかし、それ以外の時間帯は通信可能エリアを航行しています。
実際に、ahamoとHISモバイルで試したところ、東京を出航してから夜中の0:00くらいまではデータ通信が可能でした。就寝時間中は試していませんが、翌朝 7:00ぐらいではまだ通信できず、潮岬に近づいた9:00くらいから再びデータ通信が可能となりました。
通信速度は、1-2Mbps程度でそれほど速くはありませんが、LINEでメッセージをやり取りしたり、画像が重くないWebサイト程度は閲覧できます。

au

auの4G LTEの通信エリアマップは、こちらのサイトで調べられます。
沿岸の薄い水色の部分が海上での通信可能なエリアとなります。
auは、NTTドコモに比べ、海上での携帯電話の通信可能エリアが狭いようです。
この図を、先のNTTドコモの通信可能エリアマップとフェリーの運行基準図と重ね合わせてみます。
auの通信エリアの境界線は、NTTドコモの通信エリアにくらべて、かなり陸側に近いところにあります。
東九フェリーの航路は、東京湾を出て三浦半島沖合いあたりから徳島に近づくまで、ほとんどauの通信エリアに入ることはありません。
実際に au回線の格安SIM「povo 2.0」で試してみましたが、データ通信が可能なところは航海中ほとんどありませんでした。

SoftBank

最後はSoftBankです。
SoftBankの4G LTEの通信エリアマップは、こちらのサイトで調べられます。
沿岸の薄いオレンジ色の部分が海上での通信可能なエリアとなります。
SoftBankも、NTTドコモに比べ、海上での携帯電話の通信可能エリアが狭くなっています。
SoftBankの通信エリアの境界線は、NTTドコモの通信エリアにくらべて、かなり陸側に近いところにあります。
この図を、先のNTTドコモの通信可能エリアマップとフェリーの運行基準図と重ね合わせてみます。
東九フェリーの航路は、東京湾を出て三浦半島沖合いあたりから徳島に近づくまで、ほとんどSoftBankの通信エリアに入ることはありません。
実際に SoftBank回線の格安SIM「mineo」で試してみましたが、データ通信が可能なところは、東京を出航してから三浦半島あたりまで、潮岬近海通過中、徳島到着1時間くらい前だけでした。それ以外はデータ通信不能でした。

結論:海上通信のおすすめキャリア・格安SIMは

以上のように、東京発ー徳島行きの東九フェリーの航行中にデータ通信を行うには、NTTドコモ回線をもつ格安SIMがおすすめです。
NTTドコモ回線をもつ格安SIMであれば、東京有明港を19:30に出航してから就寝時間の午前0:00くらいまでと、潮岬に近づく 朝9:00頃から徳島港到着の13:05まで、海上でデータ通信が可能です。
一方、SoftBank回線やau回線をもつ格安SIMでは、東京出航から2時間程度と、徳島港到着前1,2時間程度以外は、航海中ほとんど通信ができることはありませんでした。
今回は東九フェリー 東京ー徳島間のみのテストでしたが、各フェリー会社が公開しているおおよその航路図と、各携帯キャリア会社が公開している通信エリママップを重ねてみると、電波が届きデータ通信ができる おおよその場所と時間帯を予想することができます。