MacBook、スマホ、タブレット、ワイヤレススピーカー、スマートウォッチなどなど、家の中には充電を必要とする機器であふれています。パソコンとスマホ、あるいはスマホ2台など、複数の機器を同時に、急速充電したくなるシーンも増えています。多数のメーカーから販売されているデュアルポートUSB-C急速充電器の選び方を解説します。
時代はUSB-Cへ
長らくユーザーを悩ませてきた USBコネクターの問題。
パソコン周辺機器、小型家電、Androidスマホ、iPhoneといった機器によって、USBコネクターの形状が違うことで、ユーザーはUSB-A, micro USB, USB-C, Lighteningといった様々な形状のUSBケーブルや変換コネクターを用意しなければなりませんでした。
USB-A | micro USB Type-B | USB-C | Lightening |
出典: SoftBank
それぞれのUSBコネクターごとにUSBケーブルを用意するのが面倒なので、USBマルチ変換アダプターなども販売されています。以下の例は、USB-Aから3種類のUSBコネクター(micro USB/Lightening/USB-C)に変換できるものです。
こうしたUSBコネクター問題も、ここ数年以内にUSB-Cに統一されることで、解決するのではないかと言われています。
その大きなきっかけになったのが、2022年10月に欧州で可決された“USB Type-C統一法案”です。
この法案は、EU圏内で販売されるスマートフォン、タブレット、カメラなどに共通充電規格(USB Type-C)の採用を義務付けるものです。
メーカーは、2024年末までにEU圏内で販売される端末に、USB Type-Cポートを装備させる必要があります。欧州で販売される製品だけ USB-Cに変え、他の国では違うUSB仕様の製品を販売することは、製造コストの観点から事実上不可能です。そのため、全世界で販売予定の製品のUSB規格は、USB-Cに統一されていくのではないかと予想されます。
出典:“USB Type-C統一法案”が欧州で「正式に可決」 iPhoneもついにLightning廃止か (ITmedia: 2022/10/5)
家の中を見渡してみると、USB-Aタイプの充電器が多数ころがっていますし、USB-Aから micro-USBや Lighteningに変換する充電ケーブルも多数存在します。
こうした ”USB-C以外の”充電器やアダプターも 数年以内には過去の遺産になるかもしれません。
これからUSB充電器を購入するなら、少なくともコンセント側がUSB-Cタイプのものが望ましいでしょう。また、USB-Cケーブルも、データ転送速度や、電源規格に違いがあるので、使う充電器と充電される端末の仕様に応じて、よく確認して購入する必要があります。
USB-C充電器の主なメーカー
USB-C充電器をネットで検索すると、名も知らぬ中華メーカーのものも含め数百種類のものが見つかります。多すぎてどれがよいのか迷ってしまいます。ここでは、ある程度信頼がおける、代表的な6社と、USB-C 2ポートを搭載した各社の代表的な機種を以下に挙げます。
ANKER | ELECOM | CIO |
VOLTME | NANAMI | UGREEN |
ANKER
Anker | スマートフォン・タブレット関連製品を製造する中国・深センのメーカーのブランド。日本法人も立ち上げ、マーケティング、販売、サポートを行っている |
Anker PowerPort III Duo 20W (USB PD対応 40W 2ポート USB-C 急速充電器) |
ELECOM
ELECOM | 大阪に本社を置く大手コンピュータ周辺機器メーカー |
エレコム 充電器 USB PD対応 合計40W 2ポート Type-C ×2 折りたたみ式プラグ |
CIO
株式会社CIO | スマートフォンアクセサリ関連を中心としたデジタル製品の企画・開発・販売を行う本社大阪の中小企業 |
NovaPort DUO 30W GaN充電器 USB type-c 2ポート |
VOLTME
バッテリー、充電器および関連アクセサリに特化した中国・深センのメーカー。「GaN(窒化ガリウム)により充電器を小型化したパイオニアである」とを謳っている。 | |
NANAMI
NANAMI | モバイル機器の周辺アクセサリを製造・販売する中国・深センのメーカー。ホームページは英語の直訳っぽく、あまりブランディングには力を入れていない模様。 |
NANAMI PD 充電器 USB コンセント – USB-C 2ポート 合計47W出力 折りたたみ式プラグ |
UGREEN
UGREEN | USB関連製品を製造・販売する(おそらく)中国メーカー。(ホームページに本社住所などの会社情報をきちんと記載していないため、中国メーカーと類推) |
UGREEN Nexode Mini 45W 充電器 USB-C 2ポート PD & PPS高速充電対応 |
その他にも、SOOMFON, KOZATOなどのブランドがありますが、出所が明らかでないため、詳細は記載しません。
充電器の性能と価格を決める要素
さて、これだけのメーカーが何十種類ものUSB充電器を製造・販売しているわけですが、自分に合った充電器をどのように選んだらよいのでしょうか?
USB-C充電器選びで重要なのは、大きく以下の4つになります。
- USB-Cのポート数
- 総ワット数
- ワイヤレス充電の可否
- 充電器本体のサイズ
基本的には、USB充電器は、以下のようなものがより高額になります。
- USB-Cポート数が多い
- 総ワット数が大きい
- ワイヤレス充電に対応
- 充電器本体のサイズが小さい
これらの条件を考慮しながら、ほしい機能と予算との兼ね合いで決めていくことになります。
USB-C急速充電器の選び方
さて、実際のUSB-C急速充電器を選ぶときには、どのような手順を踏むとよいのでしょうか?
以下の5つの手順を踏むと、自分のニーズに合った機種を後悔することなく選べると思います。
1.充電したい機器とワット数を洗い出す
まず、充電予定の機器を洗い出し、充電に必要なワット数を調べます。
スマホの場合は、充電に必要な最低ワット数が書かれていないことがあります。充電時間がかかってもよいなら、USB-Aタイプの充電器でも充電できるからです。
しかし、急速充電に対応している場合、その必要ワット数が書かれている場合があります。スマホは、急速充電が必要になる場合が多いので、急速充電に必要なワット数で計算します。
パソコンは、急速充電が必要ない人は、通常充電に必要なワット数で計算します。パソコンが急速充電に対応していて、急速充電が必要になる人は、そのワット数で計算します。
例を挙げます。
我が家の場合は、以下のような2台のスマホと、MacBook Airが充電対象です。
それらの電源仕様は以下のようになっています。
機種 | 通常充電 ワット数 | 急速充電 ワット数 | ワイヤレス充電 |
OPPO Reno7 (Androidスマホ) | (記載なし) | 18W急速充電対応 | 非対応 |
iPhoneSE 第2世代 | (記載なし) | 18W以上のアダプタを使用で 30分で最大50%充電 | Qi充電器に対応 |
MacBook Air M2 | 30W USB-C電源アダプタ | 67W USB-C電源アダプタによる高速充電に対応 | 非対応 |
2.同時に充電したい機器は何台か決める
次に、同時に充電したい機器の台数を決めます。これが必要なポート数になります。
ポート数が多いほど、充電器本体サイズが大きくなり、価格が高くなるため注意が必要です。
先ほどの我が家の例では、スマホ2台を同時充電、もしくは、MacBook Airとスマホ1台を同時充電できれば十分です。スマホ2台+MacBook Airの合計3台を同時充電することはありません。よって必要なポート数は2ポートです。
3.ワット数の合計を確認する
次に総ワット数を調べます。
こちらも必要以上のワット数にならないように気をつけます。ワット数が大きくなると充電器本体サイズが大きくなり、価格が高くなるからです。
私の場合は、スマホは急速充電したいですが、MacBookは急速充電することはほぼありません。
その場合、2台を同時に充電するのに必要な総ワット数は、
OPPO Reno 7(急速充電) 18W + iPhoneSE (急速充電) 18W = 36 W
もしくは
スマホ 1台(急速充電) 18W + MacBook Air (通常充電) 30W = 48W
となります。48Wあれば十分ということになります。
4.本体サイズを確認する
USB-C充電器は機種によってサイズが大きく異なるので注意が必要です。
例えば、MacBook Air M2には、30W USB-C充電器が付属しています。
このサイズは、55 x 55 x 32 mmとなっており、かばんにいれて気軽に持ち歩くには かなり負担に感じる大きさです。しかも、USB-Cポートは1つしかありません。
今回購入するのは、MacBook Air付属のUSB-C充電器より小型で、かつUSB-Cポートが2つあるものが理想です。
そこで、先の条件 「総ワット数 48W以上」と「USB-Cが2ポート」という条件を満たす、各社のUSB-C充電器をリストアップしてみました。(Apple製品のみは 35W)
メーカー | 製品名 | サイズ | 備考 |
Apple | Apple デュアルUSB-Cポート搭載35W電源アダプタ | サイズ記載なし(推定 5.5 x 5.5 x 3.2 cm);150g | |
ANKER | PowerPort III 2-Port 65W | 5.4 x 5.2 x 2.9 cm; 136 g | |
ELECOM | USB コンセント 充電器 合計68W MPA-ACCP24BK | 6.6 x 6.3 x 3.0 cm; 150 g | 40Wもあり |
CIO | CIO NovaPort DUO 65W PD 充電器 GaN(窒化ガリウム) | 5.25 x 4.2 x 2.9 cm; 95 g | |
VOLTME | PD 充電器 65W VOLTME 3ポート搭載 急速充電器 USB-A×1 & USB-C×2 | 5.9 x 5.5 x 3.2 cm; 160 g | 2ポートで 30Wのものならある |
これらの5機種のサイズを比較してみると、同じ 2ポート, 65W以上でも、CIO NovaPort DUOが格段にサイズが小さいことがわかります。
また重さも、他社が100gを超えているのに対して、CIO NovaPortは 95gと最軽量です。
5.電力振り分け機能を確認する
スペック欄にはあまり詳細に書かれていませんが、ケーブルを抜き差ししたときの機器認識とワット数の振り分け機能も重要です。
例えば CIO NovaPortの場合は、以下のように書かれています。
45W、30W、20Wの出力が自動で振り分けられます。 Nova Intelligenceによって、どのポートに挿しても、デバイスに適した電力を自動で振り分け充電を行います。 |
その他のメーカーの機種も、総ワット数を決められた電力ワット数ごとに振り分けます。
おすすめのUSB-C急速充電器は?
総ワット数に対する充電器の小ささと「電力振り分け機能」などから総合的に考えると、デュアルポートの急速充電器は、株式会社CIOのNovaPortシリーズが最適です。(CIO 楽天市場店)
48W以上が必要な場合には、出力65WのCIO NovaPort DUO 65W PD 充電器 GaN(窒化ガリウム)が選択肢となります。
5.25 x 4.2 x 2.9 cm; 95 gというサイズは他社の同程度のスペックの機種と比較しても最も小さく、かばんの中にいれて持ち歩くのに最適です。
CIO NovaPortシリーズには、ポート数や総ワット数で複数の選択肢があります。
USB-C 2ポートの場合には、65Wの他に、45Wと30Wがあります。
NovaPort DUO 65W | NovaPort DUO 45W | NovaPort DUO 30W |
CIO-G65W2C | CIO-G45W2C | CIO-G30W2C |
5.25 x 4.2 x 2.9 cm; 95 g | 4.6 x 3.6 x 2.9 cm; 78 g | 4.6 x 3.6 x 2.9 cm; 78 g |
45Wや30Wの機種は、NovaPort DUO 65Wより更にに小型軽量で、4.6 x 3.6 x 2.9 cm; 78 gとなっています。
NovaPort DUOシリーズは、2022年グッドデザイン賞を受賞しています。(こちら)