4月から新たにひとり暮らし始める人も多いことでしょう。新居にインターネット回線が用意されていて、そこにつなぐ無線LANルーターが必要になる場合があります。
また、最近盛んなキャンペーンで光回線を乗り換え、家のWi-Fiを速くするために、新たに高性能Wi-Fiルーターに新調しようと考えている方もいるかもしれません。
そんな方々に、かんたんにルーターを選ぶ方法を紹介します。
1.無線LAN環境構築のキホンのキ
まずは、ネットワーク環境を構築するときに押さえておきたいキホンです。
それは、スマホやパソコンなどの端末で体験できる通信速度は、
「途中の経路で最も通信速度が遅いところに左右される」
ということです。
わかりやすく図にするとこんなイメージです。
通信速度を左右するポイントは 大きく分けて 以下の5箇所あります。
インターネット回線
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NURO光の下り2Gbpsは別にして、概ねどこの光回線も1Gbpsをうたっています。格安の通信会社は、100Mbpsの契約もあるので注意が必要です。
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有線接続
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インターネット回線のONU(回線終端装置)もしくは、部屋に備え付けのLANケーブルの口と、Wi-Fiルーターを有線LANケーブルで接続します。
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Wi-Fiルーター
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IPv6に対応しているか、Wi-Fi通信方式はなにか、同時接続や高速通信のための機能が用意されているかで性能と価格が変わります。
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通信方式
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新しい規格ほど通信速度は速くなります。性能を発揮するにはWi-Fiルーター側と端末側が同じ通信規格に対応している必要があります。
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端末
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パソコン、スマホ、タブレットなど端末の通信性能です。古い端末ほど、高速通信規格に対応していなかったり、CPUの処理性能が不足し、通信パケットを処理しきれないことがあります。
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Wi-Fiルーターだけ高性能なものに替えても、このどこかの箇所で性能が悪いと、全体の通信速度は速くなりません。注意が必要です。
たとえば、
最高速度2GbpsをうたうNURO光に契約し、高性能のWi-Fiルーターを用意しても、ONUとWi-Fiルーターを100MbpsのLANケーブルでつないでしまっては、高速通信はできません。
また、最新の通信方式 Wi-Fi 6に対応したルーターを用意しても、スマホやパソコンが古くて、Wi-Fi6に対応していなければ、高速通信はできません。
あくまで、全体のバランスが大事なのです。
2.Wi-Fiルーターの簡単な選び方、見るべきポイントはここ!
無線LANルーターは、各社から様々な機種が販売されています。
価格.comで、販売中の製品を数えると、実に362種類もありました。(2022/3/30現在)
安いものは 1,000円台から、高いものは数万円もします。
新生活準備で忙しいさなかに、初心者の方にここから選べと言われてもなかなか難しいと思います。
まずは、生活スタイルにあわせてどこを重視すればよいかについて先に説明します。
1.対応している通信規格
2.有線LANの速度
3.同時接続台数
4.本体サイズ
1.対応している通信規格
2020年から本格的に 最新通信規格 Wi-Fi 6 (11ax)に対応したルーターが販売されています。
その前の規格 Wi-Fi 5 (11ac)の最大速度理論値が6Gbpsに対して、Wi-Fi 6ではその1.4倍の9.6Gbpsになっています。
Wi-Fi 6 (802.11ax)
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Wi-Fi 5 (802.11ac)
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最大通信速度(理論値)
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9.6Gbps
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6Gbps
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同時最大接続数
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8台
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4台
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同時接続数や通信の安定性にも改善が施されており、これから端末側も対応するのであれば検討したい通信規格です。端末側は、iPhoneならば、2019年9月以後に発売されたiPhone11、iPhoneSE第二世代以後のモデルで対応しています。パソコンも 2020年以降に発売された機種であれば、ほぼ対応していると思われます。
2.有線LANの速度
インターネット回線のONU(回線終端装置)もしくは、部屋に備え付けのLANケーブルの口と、Wi-Fiルーターをつなぐ場合には、お互いの口が 1Gbps (=1,000Mbps)に対応することを確認した上で、カテゴリ6以上のLANケーブルでつなぎましょう。
エレコム LANケーブル CAT6A 0.5m ツメが折れない 爪折れ防止コネクタ cat6a対応 スタンダード ブルー LD-GPAT/BU05 |
3.同時接続台数
5GHz帯と2.4GHz帯のデュアルバンド通信ができたり、同時に複数端末と通信できるMU-MIMU対応、外部・内蔵アンテナが複数あると、同時接続台数が増えます。一人暮らしの方は、あまりこだわる必要はありませんが、家族で同時に接続する場合にはよく検討が必要です。
4.本体サイズ
こちらは、家がひろく置き場所に困らない人は気にすることはありませんが、一人暮らしで部屋が狭い、飛び出したアンテナなど、不格好なものを目につくところに置きたくない場合には注意が必要です。
一人暮らしの場合
ワンルームで一人暮らしの場合には、電波の届く範囲についても、同時接続台数についてもそれほど気にしなくてよいと思われます。少し古い型の通信規格Wi-Fi 5 (11ac)でも、5GHz帯を使い、障害物がなければ通信速度300 Mbps以上出ます。
この通信速度なら、NetflixやYouTubeの4K品質動画視聴でも、オンラインゲームでも、快適に楽しむことができます。
家族で利用する場合
同時接続台数やWi-Fiの電波の強度と届く範囲について注意したほうがよいでしょう。
家族みなで同時にオンライン会議や動画視聴をするような場合には、最新の通信規格Wi-Fi 6に対応したルーターを検討したほうがよいかもしれません。
まとめると以下のようになります。
ひとり暮らし
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家族で利用
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対応している通信規格
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やや大事
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重要
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有線LANの速度
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やや大事
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重要
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同時接続台数
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やや大事
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重要
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本体サイズ
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重要
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やや大事
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3.新生活に最適な、Wi-Fiルーターのおすすめは?
さて、新生活でいろいろ物入り、しかも最近の物価上昇で Wi-Fiルーターだけにあまりお金をかけられない人もいるでしょう。
価格.comで調べたルーターの中から、上記要件を満たす、できるだけ安いルーターをチョイスしてみました。参考にしてみてください。
一人暮らしでルーターに場所をとられたくない | バッファロー:AirStation WMR-433W2 |
一人暮らしである程度、通信速度を確保したい | TP-Link:Archer C6 V3.2 |
家族で利用するが なるべく安価な機種 | バッファロー:WSR-1166DHPL2 |
家族で利用し、Wi-Fi 6対応で安い機種 | AirStation WSR-1500AX2S |
一人暮らしの場合
とにかく場所をとりたくないならば・・・
バッファロー:AirStation WMR-433W2
とにかく軽くて小さい 19g。持ち運んで旅先でも使えるのを売りにしています。Wi-Fi 5 (11ac)に対応していますが、有線LANインターフェイスが 100Mbpsなので注意が必要です。
メーカー
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バッファロー
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機種名
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AirStation WMR-433W2-BK [ブラック]
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発売
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2019年9月
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通信規格
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Wi-Fi 5 (11ac)
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有線LANインターフェイス
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100Mbps
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大きさ
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45×45×15mm
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ある程度性能を確保したいならば・・・
TP-Link:Archer C6 V3.2
2022年2月に発売されたばかりの新製品。IPv6、ビームフォーミングに対応し、個人で使うには十分すぎる性能です。アンテナが外部にでている分、場所をとることだけは注意が必要です。
メーカー
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TP-Link
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機種名
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発売
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2022年2月
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通信規格
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Wi-Fi 5 (11ac)
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有線LANインターフェイス
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1 Gbps
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大きさ
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215 × 117 × 32 mm
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家族で利用する場合
Wi-Fi 5対応で安価なモデルは・・・
バッファロー:WSR-1166DHPL2
3年ほど前の機種ですが、同時接続台数 15台、電波強度アップで 3階建の戸建てまで対応可能とうたっています。IPv6対応、ビームフォーミングやMU-MIMOなど、高速通信・同時接続に必要な技術はひととおり備わっており、家庭で利用するのに問題ない性能です。
メーカー
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バッファロー |
機種名
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AirStation WSR-1166DHPL2 |
発売
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2020年7月 |
通信規格
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Wi-Fi 5 (11ac)
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有線LANインターフェイス
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1 Gbps
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大きさ
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55×159×130mm |
Wi-Fi 6に対応した一番安いモデルは・・・
バッファロー:AirStation WSR-1500AX2S-BK [ブラック]
調査時点では、最新通信規格 Wi-Fi 6に対応した機種では、本製品が最安値でした。Wi-Fi 5対応機種に比べて少々値が張りますが、家族全員が2020年以降に発売されたスマホやパソコンを利用しており、みなが同時に動画サービスやオンライン会議を行うような場合には、検討してもよいでしょう。
注)本機種は、利用の仕方によっては、頻繁に接続が切れるとのレビュー記事があります。購入前によくご確認ください。
メーカー
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バッファロー
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機種名
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発売
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2021年8月
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通信規格
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Wi-Fi 6 (11ax)
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有線LANインターフェイス
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1 Gbps
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大きさ
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40×148×133 mm
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これより高額な機種については、メーカーそれぞれ独自機能を盛り込んでいます。
複数ルーターをつないで家中をカバーするメッシュネットワーク構成機能、
帯域切替を自動で行うバンドステアリング機能、
ハイパワーアンテナなどです。
必要に応じて検討してみてください。
Wi-Fi 6対応ルーターを選びたい場合には、こちらの記事も参照ください。