昔、Macのキーボード環境は、Apple純正品とサードパーティ製品をあわせても貧弱と言われていました。
Apple純正品は価格が高い割に、使い勝手が今ひとつ。
Mac向けのサードパーティ製品はほとんどない。
しかし、最近では、Mac専用キーボードを出し始めているメーカーもあるようです。
2022年春時点のMac用キーボードの最新事情をレポートします。
1.Apple公式サイト掲載製品
2.サードパーティ製品 (Mac用)
3.サードパーティ製品(Windows用)
1.Apple公式サイト掲載製品
Apple純正キーボードは、長らく「Magic Keyboard」という名称で提供されてきました。ただ、このキーボードの使い勝手が値段の割に今ひとつでMacユーザーの間でも不人気だったようです。
2021年、Apple公認のキーボード事情に2つの変化がありました。
1つは、純正品ではない、Logicool社製のKeys-to-Go Ultra Slim Keyboardが2021年2月から公式サイトで販売開始されたこと。
もうひとつは、2021年8月から、iPhoneでおなじみの、指紋認証機能であるTouchIDを搭載したMagic Keyboardが販売開始されたことです。
Logicool Keys-to-Go Ultra Slim Keyboard
Appleの公式サイトに、純正品ではなくサードパーティ製品が掲載されるのも異例ではないでしょうか?
Apple公式サイトでは、9,768円(税込)で、Logicoolのサイトでは、9,350円(税込)で販売されています。(2022/3/26現在)
Apple純正のMagic KeyboardがUSB-C – Lightningケーブルで有線接続するのに対して、このキーボードはBluetooth接続です。
携帯性はよいとおもいますが、執筆活動を長く行う方にはあまりおすすめできません。
Bluetooth接続は、キータイピングへの反応性が悪く、遅延が起きることがあるからです。
キータイピングへの反応速度は、速い順から
(USB有線接続)>(USBワイヤレス接続)>(Bluetooth接続)
となります。
タイピングスピードが速い方はできるだけ有線接続をおすすめします。
Touch ID搭載Magic Keyboard(Appleシリコン搭載Macモデル用)
このキーボードはAppleシリコン、いわゆるM1チップを搭載したMacにしか対応していません。
右上のボタン(従来の電源ボタンの相当する箇所)にTouchIDセンサーが組み込まれています。
テンキー付きで税込20,800円、テンキーレスでも税込15,800円。
キーボードだけにかける金額としては、ちょっと初心者にはためらわれる金額です。
東プレやフィルコのような高級キーボードメーカーの製品と比べてしまうと、費用対効果で見劣りがします。
以上を含めて、Apple社の公式ページに記載されているキーボード5種類を以下にリストします。
機種名・概略仕様
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価格(税込)
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Touch ID搭載Magic Keyboard(テンキー付き)
Appleシリコン搭載Macモデル用
色:白/黒
キー配列:日本語JIS/ 英語US
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20,800円
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Touch ID搭載Magic Keyboard
Appleシリコン搭載Macモデル用
色:白
キー配列:日本語JIS/ 英語US
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15,800円
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Magic Keyboard(テンキー付き)
キー配列:日本語JIS/ 英語US
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13,800円 | |
Magic Keyboard
キー配列:日本語JIS/ 英語US
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10,800円 | |
Logicool Keys-to-Go Ultra Slim Keyboard
Bluetooth
高さ: 137mm
幅: 242mm
奥行き: 6mm
重量: 180g
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9,768円 |
2.サードパーティ製品 (Mac用)
長らく、Mac専用キーボードには、あまり良い製品がない状態が続いていました。
特に高級キーボードを使いたい場合には、Windows用キーボードをKarabinar-Elementsのような裏技をつかって利用するしかありませんでした。
参考記事)Mac+Windowsキーボードの悩みはこれで解決!秘伝 Karabiner-Elementsの設定法
ところが、2019年4月に、高級キーボードメーカーの東プレがMac専用キーボード「Realforce for Mac」を発売して状況が変わりました。Mac向け「REALFORCE」がついに発売。(マイナビニュース: 2019/4/15)
ただ、どれも2万円以上する機種ばかりですので、なかなか簡単には手を出しづらい状況です。
主要なキーボードメーカーを調べてみると、依然Windows用キーボードのほうが主流を占めています。
以下は、メーカーのホームページに記載されていたMac専用、もしくはWindows/Mac両対応キーボードの種類の数です。(2022.3.26現在)
Bluetooth対応機種も含めるともっと多くの製品が出回っていますが、キータイピングへの反応の鈍さからあまりおすすめはしません。そのため以下では、USB有線接続、もしくはUSBレシーバー対応機種のみ カウントしています。
メーカー
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Windows用
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Mac用
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備考
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32
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22
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USB接続のみ販売/Mac専用
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多数
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N/A
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「Macモード」搭載の機種もある
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10
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11*
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有線/USBレシーバー対応機種のみの数
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41
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4*
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有線接続機種のみの数
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12
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4*
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有線接続機種のみの数
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*ほとんどが Windows/Mac兼用機種
これをみると、高級キーボードの東プレ以外は、明確にMac専用をかかげた製品はほとんどありません。
廉価版キーボードを提供するロジクール、サンワサプライ、エレコムにおいて「Mac対応」と謳ったものは、ほとんどWindows/Mac兼用モデルとなっています。(上記 Logicool Keys-to-Go Ultra Slim Keyboard を除く)
高級キーボードで東プレと双璧をなし、幅広い選択肢を提供しているフィルコがMacキーボードを提供していないことは、Macユーザーにとって大きな痛手です。「Macモード」というものを搭載し、Macに接続して動作する機種もあるようですが、すべての機種・OSで動作することを保証しておらず、若干の不安は残ります。
3.サードパーティ製品(Windows用)
Windowsパソコン向けには、幅広い選択肢が提供されています。
私も1台もっていますが、たとえば、FILCO Majestouch2 などは、東プレのMac専用キーボードの約半額、11,000円程度で購入できます。(2020/5購入)
FILCO メカニカルキーボード Majestouch 2 Tenkeyless 茶軸・テンキーレス・かなあり ブラック FKBN91M/JB2 [FKBN91MJB2] 価格:11,251円 |
問題は、Windowsパソコン向けに用意されている高級キーボードの幅広い選択肢が、そのままではMacユーザーが利用できないことです。
短時間の作業だったり、携行性を重視するのであれば、あまりキーボードにこだわる必要はないかもしれません。
しかし、長時間にわたる執筆作業や、もともとキーストローク(キーを押す指の力)が強い人の場合、手が疲れたり、指が痛くなったりすることがあります。その場合は、やはり高級キーボードを検討したほうがよいでしょう。
ただ、これには裏技があります。
Karabinar-Elementsというフリーソフトウェアを使うと、WindowsキーボードをMac用として使うことができるのです。
その方法については、こちらの記事で紹介します。